旅の匂い〜北京の嵐〜【書くンジャーズ】
匂いはネットでは伝わらないものの一つ。
いくら海外の町や景色をググっても、匂いは体感できない。
これはネット時代以前もいっしょ。
地球の歩き方をいくら読み込んでも匂いはわからない。
20年前、地球の歩き方を片手に独りで向かった北京。
天安門広場で屋台の弁当を買った。
食材もわからないし、どんな味かもわからない弁当。
だけど、味わうよりも前に鼻に入ってきたゴマ油の匂いで、美味しいに違いないと確信した。
確信は間違っていなかった。
その弁当はとても美味しかったのだ。
食べ終わっても相変わらず食材はわからなかったけど。
今日、嵐のイベントが行われる京セラドームに、家族を送っていった。
家族の女性3人はイベントのチケットには当たらなかったけど、グッズを買いに行くのだ。
先に家族を下ろして、激混みの中なんとか空いている駐車場に車をねじ込む。
グッズを買うだけで2時間並ぶ。
ドーム前のベンチで行き交う嵐ファンを眺め、イオンで買ったのり弁を食べながら家族を待つ。
隣で電話で喋っている女性は中国語。そしてのり弁から油の香りがする。
それは北京でのごま油の香りに似ていた。
一瞬、ドーム前の喧騒と人口密度を、20年前の天安門広場に錯覚した。
匂いでタイムトリップすることもある。
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