見出し画像

テレワークを通して考える「メンバーシップ型」と「ジョブ型」

皆さん、こんにちは。

2度目の緊急事態宣言が発出されて、政府や自治体からは「テレワーク7割を」というような要請が来ております。ニュースを見ていると業種によってはまだまだ難しい仕事も多いようですね。

私がいた外資系コンサル業界は、このあたりは非常に進んでおり、私も現役の頃はオフィスに行くのは週に一度くらいの頻度でした(クライアント先にはちょくちょく行ってましたよ)。

その分、オフィスで頑張ってくれていた私の秘書には負担をかけていたかもしれません。業務はあまり頼んでいなかったのですが、夜の銀座のお姉さん達から付け届けがあった際には、そちらを回収してもらったりとか仕事以外で迷惑をかけていた気がしています(笑)。たまに扱いに困る「ナマモノ」が届いた際には「いったいどーゆうつもりだ、テメー!?」という趣旨のクレームを彼女達から「丁寧な言葉」でご連絡頂いていました。こういうご時世になってしまうとそれはそれで良い思い出です(笑)。

というわけで昔から私は特にオフィスに行くことは少なく、また、この業界も以前からリモートワークが十分浸透していました。今、現役のメンバに聞いてみても会社にはほとんど出社していないようです。

ではなぜ業務が回っていたかと言いますと、特に外資系は「Job Description」が定めれており、責任範囲と成果物が明確だったからですね。要は与えられている期待値は明確なので、どこでいつやろうともその期待値を超えるパフォーマンスを出してくれれば問題なし、という感じです。これがいわゆるジョブ型ですね。

一方、メンバーシップ型というは簡単に言うと今までの日本企業のスタイルです。明確な仕事の定義はなく、部や課でそれぞれざっくりとした仕事が割り当てられており、リーダーがメンバの顔を見ながら、その都度タスクをそれのメンバに振り分けていくというスタイルです。現在テレワークの推進に苦戦しているのはこちらのスタイルになります。まあ、明確な仕事の定義がないので、リモートワークで目が届かなくなった場合には管理者としては指示も出しづらいし、評価もしづらいんですよね。

このように両方ともにメリット・デメリットがあるのですが、どちらが良いというモノではありません。ただ、時代や状況に応じてうまく変化して対応していく必要があります。現在の日本を考えた場合、前提として考慮しなければならない点が2つあります。

日本社会・経済のステージが変わってきている

メンバーシップ型が採用された高度成長期ごろまでは「昨日より今日、今日より明日」といった感じで日々成長していた時代です。そんな時代ですと新たに組織を作ったり人を採用したりしている暇はありません。今あるリソースを柔軟に活用し対応していく必要があります。そのような時代ではどうしてもメンバーシップ型のほうが機動力も柔軟性も推進力もあったため、うまく機能していたのです。

ただ、今の日本はだいぶ状況が違ってきています。社会や経済は成熟期に入っており、大きな成長を望むより安定を望む社会になりつつあります。社員も長く安定していけるようにスキルを磨くようになり、その方々をうまく機能させるにはジョブ型にマッチしつつあるのです。

テクノロジーと一緒に働かなければならない

人間同士であれば、空気を読んだり気を使ったりして「あいまいな仕事の隙間」もうまくやりくりできていました。良い意味で「遊び」を持っていたのですね。

が、しかし、テクノロジーはそんな器用なことは出来ません。決められたことをやるのみです。となると人間側も対応範囲を明確にしておかなければ、どうしても重複があったり、ヌケ・モレが出てしまいます。全体としては非効率になってしまうのです。

行政もハンコ改革やDX化を推進していると思いますが、テクノロジー側で業務範囲を明確化するとたぶん、本当は必要のない非効率な方々がどんどん明らかになってしまうはずです。ただ、その人たちを日本の労基では解雇できないのでどこに持っていくかというが次の悩ましい課題です。

ホワイトカラーの仕事であれば、現在のツールを使えば「テレワーク7割」というのは決して難しい目標ではありません。ただ、その前に現在の雇用形態や採用基準を見直さなければいけません。現在のメンバーシップ型の日系企業の多くは「単にテレワーク機能を導入すればOK」ということではないことを皆がしっかり認識する必要があります。

日系企業は「ジョブ型」の流れは避けて通れません。特に昨今はコロナで「人が集まることが悪」という考えが定着しつつあります。サラリーマンの方々で現在の組織に在籍している間を快適に過ごしたい場合は、ジョブ型に移行してもよいようにしっかり今から準備しておく必要があります。

まあ、みんながみんなジョブ型になったら、わざわざ大きな組織に属している必要はないんですけどね(笑)。

今の日本の企業の多くは「雇用形態や採用基準がメンバーシップ型」で「労働環境がジョブ型」と「ねじれ」が生じているので、テレワーク1つとってもなかなか推進が難しいのが現状なんです。

ただ、近いうちのどこかでこの「ねじれ」は解消するはずですので、その際には高い確率で「ジョブ型」に移行していくと思われます。そのための準備はしておかなければならないかなと思っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?