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【2021年総括】 北海道×スタートアップというテーマで、取り組んでいること。

はじめに

株式会社POLAR SHORTCUT(ポーラー・ショートカット)の大久保です。2021年は、変化・新しい挑戦の連続の1年でした。結構まわりから「POLAR SHORTCUTって普段何やっているんですか?」と聞かれることも多いので、当社の今年の取り組みや最近考えていることを振り返っていきます!

ベンチャーキャピタルファンドの組成

今年発表したなかで一番大きいイベントはやはりこれ。北海道エリアにフォーカスしたシードVCファンド「POLAR SHORTCUT 1号ファンド」を今年の4月に設立しました。

まず目指すのはシリーズAの突破!

北海道のスタートアップ・エコシステムの一番の課題&特徴は「シリーズA前後のスタートアップの圧倒的少なさ」だと思っており、このファンドからの投資と積極的なハンズオン支援で、投資先をどんどんシリーズAに到達させることが当面の目標です。

シリーズAとは… 初めて投資を受ける「シード」ラウンドの次の資金調達ラウンドのこと。金額的には数千万円後半〜1億円程度の調達となることが多い。また、シードラウンドとは違い、ポテンシャルだけでなく事業として一定の実績が積み上がっているかを評価されることが多い。

この「シリーズA」というマイルストーンは、地方のスタートアップ・エコシステムを活性化させるにあたって、実は非常に重要です。
創業初期(シード期)のスタートアップは創業メンバー+αというチーム体制がほとんどなのですが、シリーズAまでラウンドが進むと、社員採用やチーム作りの規模が大きくなるという特徴があります。
つまり、「シリーズAの会社が増える」=「スタートアップの社員として働く人の数が大幅に増える(雇用を産み出す)」ということなのです。

北海道ではまだまだ、スタートアップだとか起業家は、珍しくて自分たちの身近な存在ではありません。そんな中でいきなり起業を志向するのはやはりハードルが高い。それならまずは「スタートアップで働くこと」を身近にする、というのが初めのステップとして、とても重要だと思っています。

そして今月、ジビエ産業を変えるスタートアップとして、Fant社への出資を発表しました!

北海道で伝統的に行なわれてきた一次産業の課題を、テクノロジーやインターネット的思想を持って解決していくこのスタートアップ。
発表直後から多くの方からポジティブな反応をいただきましたが、当社ファンドがどのような事業に投資していきたいのか、とてもイメージがつきやすく、一発目の発表としてピッタリだったなと感じています。

投資に関しては非公開とせざるを得ない情報が多いのですが、Fant社以外にもいろいろ水面下で動いており、ベンチャーキャピタリストとしての活動は来年も積極的に行なっていきます!

投資だけでなく新規事業企画も。

もう一つ、北海道でスタートアップ支援に携わっている方であれば、誰もが感じているであろう「起業家の絶対数が少ない」という根本的な課題。よく言われる、北海道ではイベントに登壇するスタートアップの顔ぶれが同じ…っていうのもこれに紐づく話ですよね。

そこに対するソリューションとして、POLAR SHORTCUTでは最近、自社発の新規事業案の企画や、現職で働きつつも緩やかに起業志向を持つ方との共同企画というものに取り組んでいます(本当はこちらも年内に何かしら発表したかったのですが、そこまで推進しきれなかったのが悔しい……)。

SNSでゆるく募集したところ、すごくたくさんの方が反応してくれたのは希望!!

ちなみに今は「特定の産業・地域で大量に廃棄されているものを有効活用するビジネス」にかなり芽があるんじゃないかと感じています。本当に、地方には重要度の高い課題が山積みで、事業アイデアの宝庫です。
すぐに起業を考えているわけでなくても、解決していきたい地方の課題や、おぼろげながら考えている事業案などがある方は、ぜひ壁打ちをさせてください!

U-25世代の起業家育成プロジェクト

ベンチャーキャピタル事業と並行で進めているのが、北海道のU-25世代を対象としたスタートアップ・コミュニティづくりです。「Spread」というブランドで現役大学生世代の20歳前後のメンバーを運営に巻き込み、今年の7月より取り組みをスタートしました。

Spreadは、スタートアップに興味をもった若者が知りたい情報をnoteの記事として定期的に発信する「Spread Magazine」、noteの記事と連動したオンライントークセッションイベント「Spread Talk」、NoMaps期間中の連携イベント企画「Spread IDEASON!」など、様々な取り組みを並行で進めてきました。
その中でも特にいま運営しながら「これは…!」と感じている取り組みが、Slackチャンネルを活用したオンライン・コミュニティです。

全道各地&道外も含め、現在15名ほどのU-25世代メンバーが参加中。

実はこれ、東北大学の起業部が似たようなSlackコミュニティでの取り組みを行なっており、初めて話を聞いたときにすごく良いなぁと感じていて始めたものなのですが、現在15名ほどのメンバーに参加いただいており、私も参加するメンバー限定のクローズド勉強会や、フランクな情報交換などを行なっています。

情報発信やオンライントークセッションって、どうしても参加者が受け身になりがちなので、今のところは参加メンバーを巻き込みながら、このオンラインコミュニティを活性化させていくというのが、Spreadで力を入れてやっていきたいことですね。
まだまだ試行錯誤の部分も多いですが、これから参加者にすごく良いと思ってもらえるレベルまで充実させていきたい……!

▼Slackコミュニティへの参加者はこちらから受付しております。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdLViaJVZgBr2FyW3S7J_oBINYXHzzLVbeUukT5PYFrJcpJRA/viewform

行政と共に進めるスタートアップ支援

あとは、今年の7月から北海道経済産業局オフィシャルの「スタートアップ支援認定コーディネーター」なるものに選定いただきました。
主にはJ-Startup Hokkaido認定企業向けに、スタートアップならではの経営課題や新規事業開発の悩みに対するアドバイザリー業務、場合によっては専門家として特定領域(私の場合、採用戦略や人事制度設計とか)の戦略設計支援まで行なっています。

行政のスタートアップ支援の取り組みって、セミナー開催など創業の啓蒙活動寄りのものが多い印象なのですが、今関わっている経産局の取り組みは、既に走っているスタートアップの具体的な悩みを相談・壁打ちできる実務支援型で、意味があることをちゃんとやれているなあと手応えを感じています(私の思い込みでなく、各社から実際にそういう声をいただいています!)。

また、この経産局のスキームでは、当社ファンドでは投資検討が難しいラウンド・領域のスタートアップ(既に一定額の調達が済んでいるなど)に関わる事が多いのも個人的には嬉しい点です。(VCファンドって、想像以上に実際に支援できるスタートアップのフェイズって限られちゃうんですよね…)

また、8月には内閣府向けの「札幌・北海道スタートアップ・エコシステム推進協議会」の進捗報告会にも登壇させていただきました。

サツドラホールディングスの富山社長、D2Garageの佐々木智也社長、北海道大学の宝金学長など、北海道を代表する面々と並んでのプレゼンテーション。当社の取り組みに注目いただいていることを有り難く思いつつ、それに恥じないだけのアクションを積み重ねていかなくては!と感じています。

その他のプロジェクトや活動

札幌の歴史を紐解く「札幌解体新書」PJ

起業支援とは畑が違う有志のサイドプロジェクトも今年はいくつか関わりました。そのひとつがコアファンも多い札幌解体新書。

こちらは「過去からさかのぼって現在を眺め、未来の札幌への提言を行う連続トークライブ企画」と銘打って、北海道の街づくり、金融、産業構造、文化芸術などのテーマを学んでいこうというトークイベント。
最初は勢いで始めたこの企画ですが、一つの回が2時間近くの長尺にも関わらず、なんと毎回100名近くの方が視聴してくれるという、かなりの人気コンテンツに育ちつつあります。

北海道の歴史を様々な切り口で学ぶことで、私たちが現在置かれている状況がどのような歴史的経緯によって産まれたものなのかを知ることに加えて、大学教授や道内における各テーマの第一人者の方々と、ざっくばらんな議論をできることが何より面白いですね。
コンテンツとして表に配信している以外にも、運営側では事前のコンテンツ検討や、登壇者の方を交えた軽いオフ会のようなものもやっているため、(準備は大変ですが…)その分得られる知見も多いです。

地方都市の可能性を探る遠征

また、北海道のスタートアップ・エコシステムを語る上では「やはり札幌だけでなく、それ以外の地方都市の状況も具体的に知っておきたい」という気持ちも強くなってきたため、今年は函館・苫小牧・帯広・厚真町エリアへ遠征の機会を設け、各地のキーマンの方との情報交換も積極的に行なってきました。
(↓の記事は、市役所の方などからも読みましたよ!って言われることが多くて嬉しい。執筆のモチベーションになります笑)

えりも町へワーケーションに行って、ワーケーションの意義とは何ぞやということを考えたりも。

私が投資したFant社も十勝・上士幌町に拠点をおいていますし、札幌以外の地方にも面白いスタートアップがあるなあと最近感じています。
そもそも、農業や漁業などの一次産業は札幌以外のエリアが本丸ですし、実際の顧客課題への近さ・解像度の高さという意味では、札幌以外の場所のほうが「北海道ならでは」のスタートアップというものは産まれやすいのかもしれない……。

一部の地方都市では、札幌や東京へ生産年齢人口が流出していく現状を踏まえ、「どうやって地方都市に新産業を産み出すか」という文脈のなかで、地域でのスタートアップ創出がそのためのブレイクスルーになるのではないかという議論も出てきていたり。
先日苫小牧に伺った際にも、主力産業である港湾事業のDX(通称:みなとテック)をやっていくのが面白いのではないかという話で盛り上がりましたが、アナログな既存産業もスタートアップによって生まれ変わる可能性があります。また、こんな感じで自分の専門分野を通じて公共政策の領域に関わっていけるのも、地方のプレイヤーとしての面白さだと思います。

さいごに

一通り振り返ってみると、これ全部2021年の出来事なのかーという感じです。結構いろいろやったな…と多少の満足感を感じつつも、もっと大きなチャレンジをしている人と比べるとまだまだ!
来年は、自社発の新規事業をモノにすることと、より多くのスタートアップへ投資すること。そして、今の延長線上にはない全く新しい取り組みを改めて模索していくことに、時間を使っていきたいと思います。

何かご一緒できそうな方、取り組みに興味がある、起業したいという方がいれば、ぜひご連絡ください!
Mail:info@polarshortcut.jp
Twitter:@OkbNori

PS:今年は何だか気兼ねなく話せたり、ご飯を食べに行ったりできる、仲が良い人の数が増えたなと思います。生きていくうえで、そういう関係性の人たちがたくさんいると感じられることはとても大事!いつもお付き合いしてくれる皆さま、ありがとうございます🙏

厚真町キャンプのときの、エモい感じに撮れた写真。こういう瞬間が楽しいんです。



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