会社では意見箱、目安箱はオブジェ化する
スーパーや飲食店の意見箱
会社内の意見箱
目的は同じようなものであっても、結局仕組みや文化の違いから大きな差が出てしまいます。
スーパーや飲食店の意見箱
これらの意見箱は主にお客様(外部利用者)が利用するものです。そのため、
匿名性が確保されている
投稿者が「お客様」であるため、個人が特定されることがほとんどありません。投稿者にリスクがない
提案や意見を送ったからといって、生活や行動に直接の影響がありません。これは意見を出しやすい大きな要因です。感情的ではない傾向
利用者が書く内容は、体験に基づく具体的な意見や要望であり、感情的なものは少なくなります。サービス向上が主目的
店側も「お客様の声を活かしてサービスを改善する」という明確な目的があるため、投稿を受け止めやすい環境です。
会社内の意見箱の難しさ
一方で、会社内の意見箱は主に**社員(内部利用者)**が利用するため、次のような課題が生じます。
匿名性が不完全
社員数が少ない場合、投稿内容や文面から書いた人が特定される可能性が高いです。「誰が言ったのか」が注目され、意見そのものが軽視される場合もあります。リスクが伴う
特定された場合、評価や人間関係に影響を与える可能性があり、社員にとって意見を出すことがリスクになります。感情的な意見の増加
職場の不満や人間関係のトラブルが絡む場合、感情的な意見が増えやすくなります。これが誹謗中傷や悪口と捉えられることもあります。上層部が意見を「攻撃」と感じる
意見がトップや管理職の問題を指摘する内容だと、会社側が「批判」として受け取ることがあります。この防御的な反応が、意見箱の機能を損なう原因になります。
そうすると意見箱はオブジェ化してしまいます。
意見箱がオブジェ化する理由
意見が無視される
出された意見が何の反応も得られず、改善につながらない場合、社員は「どうせ意味がない」と感じて意見を出さなくなります。匿名性が確保されていない
「意見を出すと特定されるかもしれない」という恐れがあると、社員はリスクを避けて沈黙を選びます。トップが受け身の姿勢
トップが意見に対して「本気で耳を傾ける」姿勢を見せないと、社員は意見箱を「ガス抜き」の道具としか見なくなります。フィードバックがない
意見を採用するかどうかの基準が曖昧で、採用された場合の改善結果が共有されなければ、社員のモチベーションは下がります。厳しい意見を避ける
トップや中間管理職が耳の痛い内容を避け、都合の良い意見だけを採用するようになると、意見箱は形骸化してしまいます。
そこで働く人から色々な情報を集めるために設置したのなら、それを有効活用する方法はないのでしょうか?
意見箱を機能させるための方法はないのでしょうか?
それはなにか→トップの器と覚悟
が必要になります。
具体的には
意見を出しやすい環境を作る
完全匿名のデジタル意見箱を導入し、投稿者が特定されないようにする。
上層部が定期的に「自由に意見を出してほしい」とメッセージを発信し、意見を歓迎する姿勢を明確にする。
意見に対するアクションを明確にする
提出された意見について、どのような改善が行われたかを社員全体に共有する。
採用されなかった意見についても、理由を丁寧に説明する。
厳しい意見を歓迎する文化を作る
耳の痛い意見ほど会社を良くするチャンスだとトップが示す。
「批判ではなく、改善の種」と捉える姿勢をトップ自身が見せる。
改善の成果を評価・共有する
意見を基にした改善によって得られた成果(コスト削減や社員満足度向上など)を社内で共有する。
定期的な見直し
意見箱の運用状況を定期的に確認し、社員の意見を基に運用方法を改善する。
しかし、結局は
トップの器と覚悟が鍵
トップが自らの限界を認識し、社員の声に耳を傾ける覚悟を持てるかどうかが意見箱の成否を分けます。たとえ耳が痛い意見でも、「会社を良くしたいからこそ出た声」と捉える度量が求められます。
「会社はトップの器以上にはならない」。
その器の大きさが、
意見箱が
「社員を動かす道具」となるか、
「オブジェ」となるか
を決めることになるのでしょう。
地べたにホコリまみれになって放置されていたり、
完全にオブジェ化したり、
しているのも目にするとそれも仕方がないのかなあ
そもそもトップの器の大きさに決まってしまう制度だからと
思ってしまいます。
意見箱は本当にすごく良い取り組み、制度だと思いますが、どんな制度や取り組みも結局はトップの器、トップのレベル次第と感じます。
オブジェ化、不要品になっている会社多いのだろうなあ。