ピアノ de なら<柳本駅> はじまりの前奏曲
このたび、街角ピアノデビューしました。
大好きな地、奈良で。
「指の不調によりピアノは休眠中」のはずだったのに、なぜそんなことに?!
ことの発端はたしか・・・
そう、4月に投稿した記事に寄せられた奈良友「kumokichi」さんからのコメント。
>やっぱりストリートピアノツアーやっちゃう?
>まずは京終駅でデビューかしら?
by kumokichiさん
奈良にはストリートピアノが設置されている駅があると知り、それもおもしろそうだなぁと思いながらも、でもまだ弾ける段階じゃないからとそのことはすっかり忘れていました。
それが。
秋の奈良遠征を控えた9月末、どこを歩いて回りましょうか?とやりとりするなかでkumokichiさんから発せられたひとこと。
「ならまちあたりから京終駅へ向かい、ピアノ弾く?」
なに?
ピアノですと??
そういえばそんな選択肢が・・・あったか!
それから慌ててごく簡単な楽譜を実家から持ちかえり、練習を始めました。
とはいえ練習期間はほんの1週間。
はっきり言って上手くはないけれど。
でもいいの、いまの自分の身の丈に合った演奏ができればそれで。以前のわたしなら、たぶんこんな心境にならなかっただろうな。
「完璧に弾けるようにならないと、人前でなんかとても披露できない」って。
🎶 🎹 🎶
約束の日、kumokichiさんとの待ち合わせ場所は「京終駅」。JR奈良駅から万葉まほろば線(名前がすてき!)に乗って向かいます。
奈良駅がすっかり変わっていたので、物珍しさでキョロキョロしながら歩きました。
何しろわたしの記憶は2003年止まり。奈良駅舎といえばあの!和洋折衷の寺院風建築でしたが、現在は東口で観光案内所として活用されているようです。21年という歳月を感じますね・・・
万葉まほろば線は、奈良と桜井を結ぶのどかな路線です。
のんびり走る車窓から奈良のまちなみを眺め、もっと乗っていたいと思いながらも、待ち合わせ場所は次の駅「京終」。田舎にある駅の多くがそうであるように、こちらも常駐の駅員さんはいません。きっぷ回収箱にそっと切符を滑り込ませ、懐かしさを感じながら改札をでました。
そして、
このすてきな駅舎!
わぁ~、趣ある駅舎!
いいですね、奈良はこうでくちゃ。
ここでピアノが弾けるなんて最高~
真ん中にどしっと置かれた、存在感たっぷりのピアノ。
でも、あれれ?
水玉のかわいらしいカバーをお召しになったままの姿。そーっと鍵盤蓋を開けようと縁に指をかけてみましたが、鍵がかかっていて開きません。
ふむ、まだ管理の人が来ていないのかも。
駅舎内にはセンスの良さそうなカフェがあり、まだお店はやっていませんでしたが入口に貼られた営業案内をなんとなく眺めました。それによると、
<店定休日:水曜日>
あ、今日水曜日だ。
定休日か~、残念。
<なお、駅ピアノは当店で管理しているため、ピアノ利用時間は当店の営業時間内となります>
・・・
・・・
・・・
えっ?
ということはつまり、きょうはピアノを弾けないと?!
そ、そんなことが・・・
あ、いま「なんで前もって調べてから行かないの?」って思われたかた。
そうですよね、ええ、全くもってそのとおりです。
が、残念ながらkumokichiさんもわたしも、思い立ったらすぐ行動・スタートダッシュが持ち味の牡羊座。「用意周到」や「石橋を叩いて渡る」という言葉の存在をそもそも忘れがちなのです。
ま、こんなこともあるよね。
今日はそういう日だったんだ。
代替プランを考えつつ、犬の散歩にきた近所のおじさんとおしゃべりしたり、尻尾ふりふり懐いてきた優しい瞳の柴犬カイくん(8歳オス)をなでなでしていたところへ、待ち人が到着!
かわらず元気印のkumokichiさんと相談し、万葉まほろば線でもう一箇所、ピアノが設置されている「柳本駅」(天理市)へ向かうことにしました。
🎶 🎹 🎶
ありました~!
ピアノちゃん!
どれどれ、ではさっそくチェックといきましょうか。上蓋open~
メーカー:ヤマハ
機 種:U3H
製造番号:3012906
機種名U3Hの”U”は、アップライトピアノUpright Piano(縦型ピアノ)の頭文字”U”。同時代に販売していた機種U1Hに比べて背が高く、そのぶん音に深みがあります。
製造番号から調べた製造年は1979年、45歳ですね。親近感湧く・・・
この年代はピアノを習い事にしていた女の子が多く、第二次ベビーブームと好景気の波にのってピアノが飛ぶように売れていたころ。
外装はキズが多く見られますが、中はどうでしょう?
ピン・弦 → 錆なし
ハンマーフェルト → 弦跡それほどなし
アクション → 動きよし
うん、元気そうですね。
調律カードを見ると2022年10月から毎年調律されているので、その年にこの駅へお嫁に来たのでしょう。嫁入り前はどこにいたのかな?キズが多いから学校とか公共施設にいたのかもしれないね。そのあたりの物語を深掘りできたら、更におもしろそう。
🎶 🎹 🎶
ではいよいよ鍵盤を・・・(どきどき)
1Aから88Cまで1音1音確かめながら上がり、てっぺんまで行ったらまた下がる。動きのおかしな鍵盤はなし、と。
つぎは分散和音、C-Dur→G-Dur→D-Dur→A-Dur
うん、いいかんじ。いつもどおりの平均律。
やはり調律したばかりのピアノは気持ちいい。ほんと、ツイてるな~☺
パラパラと試し弾きをして、
よし、それじゃあいくよ~、バッハ先生!
🎹 J.S バッハ 🎹
平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番 プレリュード
始めこそちょっぴり緊張したものの、すぐに慣れました。
それにしてもよく鳴るピアノです。
低い天井にコンクリートの壁という環境もあるでしょうが、ピアノ自体が元気はつらつ。この時代の音響版はかなり質がよかったんでしょうね。45歳、まだまだ現役!
ありあまるパワーをところどころソフトペダルで抑えながら、2分とすこし、ピアノとの対話を楽しみました。
こちらが、その証拠写真です。
弾けて、よかった。
奈良のピアノは、わたしを受け入れてくれたみたい。
うれしい、とても。
このあとならまちへ移動し、買い物したりお茶したり。
kumokichiさんとふたりあれこれ作戦を練りながら、これから先の楽しい未来に思いを巡らせたのでした。
きょうは、記念すべき日。
「はじめの一歩」、踏み出しました。