新巻鮭
地元北海道では鮭のシーズン。
ということで、実家から新巻鮭が一本丸まんま送られてきた。
さて。
新巻鮭とは塩漬けにした鮭のことだが、このままではとてもじゃないが塩辛くて食べることができない。
新巻鮭との闘いは、まず塩を抜くところから始まる。
新巻鮭用のポリ袋(そんなものがあることすら知らなかった)に水をたっぷり入れて、鮭を突っ込む。
何度か水を換えながら一晩待つとちょうどいい塩梅の鮭が出来上がる。
出来上がると言ってもまだまだ一本まんまの鮭である。
本番はここから。
鮭の捌き方は意外とシンプルで、中心の骨に沿って表面と裏面を剥ぐだけ。
これがいわゆる三枚おろしというやつ。
しかし一言に三枚おろしと言っても、まずヒレを取る必要があるし、えらに切り込みを入れたり、頭をとったり。
細かい工程を入れるとややこしい。
そんなこんなで鮭を三枚おろしにした後、スーパーで売っている鮭の切り身にするためにどんどんぶつ切りにしていく。
そのあとは鮭のアタマをあら汁で使うサイズにカットしていく。
市販の(ドンキホーテで3000円ほどの)包丁では、なかなか鮭の硬い骨をバツンバツンと切り砕いていくことが難しい。
まずは少し足を開く。
そして姿勢をしっかりと整え、包丁がブレないように手に神経を集中させる。
そのあとは体重をかけながら、ぶつ切りにしていく。
1時間ほどかかって、全ての工程が終わったあと、全身が筋肉痛のような感覚になっていた。
以前から、北海道の先住民族であるアイヌをはじめ、昔の人は女性でもかなりしっかりした方々が多いように感じていた。
今回の筋肉痛でその理由が少しだけわかった気がする。
人間が人間らしく生活を送っていると、筋トレやジムに行かなくたって、健康な体をキープできるということ。
捌いてくれる方々の手間賃として、わざわざスーパーで高い切り身を買って、さらにジムに毎月何千円も課金する。
そのためにお金が必要だから、今よりたくさんお金が欲しいと錯覚する。
鮭を一匹丸ごと買い(もしくは釣り)、それを自分で捌き、小分けにして冷凍しておけば、お金も節約できて、体の健康も維持できる。
もちろん、何でもかんでも縄文時代の生活を目指せばいいわけではないと思うが、たまには鮭を捌いてみるのもいいなと思った。
自分を含め、人間は不思議な生き物だ。