Diorのお話
自分の性別が男性というのも相まって、今までの人生でいわゆるハイブランドは身近にあるものではありませんでした。
ただ、今の仕事(アニメーション)で絵を描き始めてから、
アート文脈でハイブランドを観てみると、確かに一般的なアパレルブランドとは全く違った良さがあるのは強く感じました。
それと同時に、
日本における"ハイブランド"の立ち位置がとても異常だなと感じるようになりました。
日本でハイブランドを着ている人を観ると、僕は"お金"を着ているように見えることが多いです。
一方で、海外(この定義自体も曖昧だが)でハイブランド(ラグジュアリーブランド)を着ている人を観ると、"歴史"を着ているように見えるんです。
例えば、
とても素敵な人柄のイラストレーターの香織さんという方がいらっしゃるのですが、以前その方のYouTubeで「服を買う時の基準は?」「好きな香水はなんですか?」という質問に答えていたんです。
そこでのお話の中で「CHANELのLE LIONという香水が好きです!」というような話題がいくつか出てくるんですが、香織さんは"歴史"を着ているように見えました。
話は少し変わって、
以前東京都現代美術館で行われていたDior展を観に行ったのですが、そこに訪れていた方を観察していると、展示されているものの見方がとても上品なんです。
もちろん、デパコスの延長線上で展示を見に来ている若い女性も沢山いましたが、僕が今まで訪れた中では上品な人が1番多かった気がします。
今日の話はそれ以上でもそれ以下でもない、ただの主観的な感想にすぎないんですが、
日本人がハイブランドを着る時に着ているのは"お金"である
と見えてしまう理由については、考える価値があるんじゃないかと思っていて、
ここに、自分が感じていた疑問や違和感の答えがありそうな気がしています。
この記事を書いていて、何より悲しかったのは、
あんなに素晴らしい作品たちが日本においては"お金"のシンボルとしてしか機能していないということです。