直接発信と間接発信のちがい【Quest FM】冒険の書その9
20代のころ、「西宮市に映画館をつくろう」という活動をしていました。まだSNSが発展してなくて、mixiが登場し始めたくらいのころです。
たったひとりの思いつきで始めた活動だったのですが、こちらの思いを発信していれば「何かいいこと起きるだろう」くらいの軽い気持ちで毎日サイトにテキストをアップしていました。
なぜ映画館がほしいと思ったのかエッセイ風に綴ったり、どんな映画館をつくりたいのか企画書的に発表したり、地域の方はどう思ってるのか取材して記事にしたりと、とにかく毎日発信していたんです。
そうして書き続けていると、ひとり、ふたりと賛同してくれる仲間が現れ、やがてチームが結成されました。
こちらの思いを「直接的に」発信していたから、応えてくれる人が現れたわけです。
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誰かに向けて発信をするとき、「直接発信」と「間接発信」があると思ってます。
前者の「直接発信」は、どんな活動をしているのかをそのまま伝えるものですね。メーカーだったら商品の開発プロセスを紹介したり、政治家だったら自分が携わってる政治活動の進捗を報告したり。
クラウドファンディングのページに書かれているテキストなんて、まさに直接発信ですね。「買ってくれ」「応援してくれ」という思いをダイレクトに伝える類のものですし。
一方、後者の「間接発信」は、間接的な発信を通じてファンや理解者を育んでいくイメージでしょうか。
たとえば作家さんが飼ってる猫のことだけ発信しているSNSアカウントがあるとして、読者はその投稿を通じて作家の人柄を感じ取り、作家本人や作品との距離を縮めていくことができます。
間接的な投稿を通じて、発信者と受け手の関係が濃くなっていくんですね。
もちろん「いまこんな小説を書いています」などと内容を紹介できるのであれば直接発信も可能でしょうけれど、立場上、あるいは作品の性質上、途中経過を発表できないものはあるわけです。
その代わりというわけではないですが、直接発信ではなく間接発信のほうがかえって「好感度の醸成」や「信用の積み上げ」に寄与することもあるのではないでしょうか。
どちらがいいかという話ではなく、「何を」発信するかという話です。
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オウンドメディアを運営している人や、何かの作品をSNS等で発表している人であれば「直接発信」か「間接発信」か、どちらを採用すべきか悩むところだと思います。
直接発信だと「売らんかな」の内容ばかりで飽きられそうだし、そもそもネタが続かないかもという危惧もあります。
伝え方のトーンを整えて、きちんと発信し続けられたら「ダイレクトな思い」に勝るものはありませんが、なかなかハードルは高いです。言うに言えない機密事項もありますしね。
その点、間接発信を始めるハードルは低いです。
「それを通じて本流に還元されるもの」であれば何でもいいのですから。自分が好きなもののこと、ここがいいなと思った着眼点、それらが「直接伝えたいこと」を増幅させるものであれば貢献度は高いと思います。
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僕が経営している文具メーカー「ハイモジモジ」のInstagramアカウントで毎週水曜日にラジオ番組を放送しているのですが、こちらは直接発信と間接発信のハイブリッドです。
最近、開発している新製品の試作をリスナーに見てもらって感想やリクエストをいただく回が直接発信。一方で、最近読んだ本の話や、気になった他社のプロダクトやサービスを紹介することもあります。こちらは間接発信。
だから、どちらかにしぼらなくても、両方を共存させるのもアリです。
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さて、ハイモジモジとは別にDJ AtsushiとしてDJ ShotaとDJ Masashiの3人で結成したモノづくりするラジオ局「Quest FM」では、当初は直接発信をしていました。
言える範囲で「カスタムできるお財布」を開発しているとした上で、「人にとって持ちものとは何か」とか「ふだん財布に入れているもの」とか「カスタムできることのメリットとは」みたいな話をClubhouseとPodcastの二本立てで音声配信してきました。
そんな中、肝心のお財布づくりにぐぐっと進展があり、かえって発表できないことが増えました。
たとえば今後もし特許等の権利を取得するなら、事前に発表してはいけない決まり(=発表してしまうと公知のものとなって権利を取得できなくなる)がありますし、オープンにしたくともできない事情もあるんですね。
そこで水面下ではモノづくりをきっちり進めつつ、水面の上では「メンバー3人が最近気になってるもの」をプレゼンしていく「間接発信の音声メディア」を育くむ方針にリニューアルしました。
番組名は「YOSAGEMONO(=良さげもの)」です。
プレゼンするもののチョイスや、なぜそれが良いと思ったのかなど、私たちの考えを通じて、Quest FM への理解と愛着を深めていただけたらと思っています。
第1回放送はこちら ▼
書き起こしnoteはこちら ▼
紹介したアイテム ▼
機が熟せば、開発中の商品を発表していく直接発信も行っていくと思いますが、当面は間接発信のほうをお楽しみください。
これからも Quest FM をよろしくお願いします。
【松岡厚志 PROFILE】
ハイモジモジ代表。書類収納の決定版「WORKERS'BOX」ほか、思わず膝を打つアイデア・プロダクトを発信している。フリーライター、ネーム・デザイナー(ネーミングの専門家)、モノづくりするラジオ局「Quest FM」のDJ Atsushi、御茶の水美術専門学校非常勤講師などの顔を持つ。
Web Site >>> https://www.atsushi-matsuoka.com/
Twitter >>> https://twitter.com/513MHz
Company >>> https://www.hi-mojimoji.com/
Name Designer >>> https://www.name-designer.tokyo/
Quest FM >>> https://quest-fm.com/