八月踊り口上
(口上)
二鳥一石三文二束朝四暮三
汝(ナ)歌に吾(ワ)歌
四度五度離れて三下り
六調女弦は七惚れ八惚れ
三儀山胡弓が一里と響み用青年ら大和まで
西の実久の難破船、凪いだらお金を採りに行こう
糸繰り機織り後にしてむちゃ加那戻らぬアオサ採り
浦富踊りは互いを合わせて
右足下げては左腿、右腿叩いて左足
踊れ踊れよ三十まで踊れ三十越えたら子が踊れ
踊り出でた子揃た揃たと今の踊りに長い刀
三度播け播け大根の種、次なる踊りは赤木名観音
違えた手足は左右また右左
手習(デッショウ)始まり大和の方から
優美な夫婦浄らかな踊り
習い始めは真名瀬浦上鍋加那が
加那が島吾島分かつ間切、掛ける杉の橋名瀬間切
大熊浦上大和は大棚大和浜
喜界六間切大島七間切
喜界湾泊り水焦がれ、山田平田が潮焦がれ
内焦がれて余所知る真道、曲がり高峰灯した提灯
偲ぶ山道骨を散らせども
芦花部一番上殿地ばあ加那クバヤ一番戻る実久
諸鈍長浜塩道長浜
戸円の白真塩と未だ見ぬ踊り
啼けば優り立つ浜千鳥
母の面影は時々に吾加那面影は朝夕と
東れ立雲棚引いて東村(アガンムラ)の笑わぬ姉は
恋煩いに頭が痛く母は世話焼きユタを呼ぶ
玉乳くわは笠利鶴松後ろ軽々お引き取り
甘蔗も引かずに油口だらだら娘心は馬でも引けず
あまだ下がりや魚の頭、美人な妻が髪油
有屋まし加那仮屋はば加那
嘉徳なべ加那かんでくかとく
ほべなべほうめらべふうめらべ
傘を忘れた扇忘れた煙草忘れた宿に忘れた
戻る雨降り睦れ煙草
しゅんかね節の三味線手に取り
すくてん節では棒踊り
やがて三条どんどん節と夏目踊りは徳之島
渦巻く中心鳴らす太鼓と囲う子孫に父母祖父母
歌声合わさり始まり座(イ)り歌
殿地奥方改めましてまずはあみされ即ちあらさげ
今日の良き日にお祝いをつけまして
これから先も祝事ばかり
新たな節より七日七夜は果ての嫩芽へ移ろう冬も
これほどの遊びがいつまでもいつまでも続きますよう
八月の節は畦並べにございます
(歌詞例)
八月の節や何時また戻り
何時また戻り二十歳頃
大和女幾つか二十二か三か
笠利女思う十七八
あなた百までわたし九十九まで
ともに白髪の生えるまで
百聞一見二化粧三衣装
四度五度離れ六調女弦
七日七夜と八月踊り
九月十日の菊の花
アラセツシバサシ行き果てドンガ
クガツクンチやカノエサル
踊念仏歌掛け連歌
手習誰が始めたる
大和夫婦へ一里離れ
胡弓は響む三儀山
今の踊りは踊り子揃い
出でたがらぬ子出でたがる
三度播け播け大根(ドコネ)種
おろし育てて野菜肴
さんどまけまけ二十歳の娘
踊り出でて次ぐ赤木名
赤木名観音如何にか踊る
左手右足違い合わせ
互い合わせで如何にか踊る
汝歌吾歌は向かい合わせ
名瀬と笠利は近くにはならず
直そ直そとな音ばかり
汝歌あらさげて吾歌あらさげて
チヂン(※島太鼓)打ち出せば近くなる
チヂン打ち出せば歌声枯れて
白枯れの花は如何なさる
白枯れの花に雨水過ぎて
吾が落とす目涙思い出す
白枯れの花は転げる杉の橋
節も越え変わる水の流れ
偲ぶ山道は骨を散らせても
吾が胸の内や散らせならぬ
偲ぶ山道はとうに隠れ道
島越ゆるごとに真道在らせ
島越ゆるサシバ懐か声聞かせ
いつもこのごとに在らせ給え
汝歌あらさげて吾歌あらさげて
互いにあらさげて夜さりソシラ(※遊びましょう)