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フィンランド語の辞書を積んでみた

服部久美子です。英語・スウェーデン語(数学、素粒子・宇宙物理)の翻訳ができます。

翻訳可能な言語にフィンランド語を加えるべく、今がんばって勉強中です。

上の写真は、うちにあるフィンランド語の辞書を全部積んでみたものです。
一番よく使うのは、『パスポート初級フィンランド語辞典』(吉田欣吾編、白水社)です。見出し語は5700語ですが、それぞれの語のところに派生語もまとめて書いてあるので感激的に便利です。動詞を引いたついでに対応する名詞も覚えられます。見出し語の活用・格変化も書いてあってうれしいです。この辞書で探しても見つからない語は『フィンランド語辞典』(萩島崇著、大学書林)を引きます。こちらは派生語を一緒にのせていないのですが18,000語掲載とあります。そして、最後に頼るのが、フィン-英大辞典(Uusi Suomi-Englanti Suursanakirja)。いただき物ですが、探している語がたいてい見つかるので、本当にありがたいです。それでもない場合はgoogle翻訳に入れてみますが、辞書にある語と共通する語幹があって類似する意味があれば採用しますが、そうでないときは文脈に合っていれば「とりあえず」採用することもあります。辞書に載っていないようなスラングのこともありますが。

2年前から、これまで続けてきたクラスに加えて、フィンランド語の小説を読むクラスを受講しています。和訳が順番に回ってきますから、予習が必要です。このとき、上の手順で辞書を引いて這うように読み進んでいます。

パスポート初級フィンランド語辞典
フィン-英大辞典

このほかに、フィンランドで買った黄色い中型と小型のフィン-英・英-フィン辞典もあります。最初のうちは「たまには」使っていたのですが、小説を読むクラスに入るときに『パスポート』を買って、大型のフィン-英辞典をいただいてから、使わなくなりました。黄色い辞書自体は、大きさの割にたくさんの語が載っていてとても良い辞書です。フィンランドで買った赤い表紙のフィン-日・日-フィン辞典は使い勝手が悪いので全く使っていません。

小説を読むことになってフィン-日辞書を買ったのは、英語と日本語の守備範囲にずれがあるのが気になったからです。たとえば、jäytää という動詞はフィン-英辞書を見ると gnaw とあり、それを英和辞書で見ると「かじる、悩ます」とあります。フィンランド語のjäytääもこの2つの意味をもち、gnawと守備範囲が似ているようです。でも日常の日本語ではそれを一語で表現できません。

私がフィンランド語のクラスを受講し始めたのは2016年でした。先生がよく「フィンランド語は辞書を引けるようになるまでが何年もかかる」とおっしゃっていましたが、本当にそうでした! 上で黄色い辞書を「たまには」使うと書いたのもそのためです。動詞も名詞も一見「自由気ままに」変化しますから(実際はきちんとしたルールがある)辞書に載っている形にたどり着くまでがたいへんです。

以下に動詞の1人称単数形と、名詞の単数属格/対格(同じ形で所有格/目的格にあたる)を思いつくままにいくつか挙げてみますが、これらの辞書形(「不定詞」は複数の種類があるので以下「辞書形」と言います)は何でしょう?

動詞(1人称単数)
makaan, aion, juon, tapaan, teen, karkaan
名詞(属格/対格)
pojan, kirjeen, ajatuksen, vuoden, osoitteen, joen, puhelimen
 
辞書形
動詞
maata(横たわる), aikoa(~するつもりである), juoda(飲む), tavata(会う), tehdä (する,作る), karata(逃げる)
名詞
pojka(少年), kirje(手紙), ajatus(考え), vuosi(年), osoite(住所), joki(川), puhelin(電話)
 
これらはそれぞれタイプ別にきちんと規則に従っているので、まずそれを覚える必要があります。複数形の変化規則もありますから、全部覚えてすぐに出てくるようになるまで、数年かかるというのも理解できるのではないでしょうか。
 
いやいや、ここではフィンランド語は難しいという話をしたいのではなくて、変化規則がややこしくても、いったん勉強し始めるとフィンランド語の魅力にからめとられてしまうことで締めたいのです。この魅力、何でしょうね。

(文責:服部久美子)

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