安曇野の旅を終えて
雪がちらつき始めた11月末。
穂高養生園での、長くて短い8ヶ月が幕を閉じました。
東京を経由して地元に戻り、色んなことがようやく落ち着いて、暮らしを取り戻しつつあるこの数日です。
あぁ無事に終わったんだなあ…
という安堵感もなければ特別な達成感もなく、とてもフラットな気持ちで今までの延長線上での今の時間が流れている、少し不思議な感覚。
ただ、山の中での暮らしを離れて、今までの元の暮らしに戻って、両者にいろんなことを感じながら、その足跡を確かめるように過ごしている気がします。
養生園に行く前は、自由になりたい気持ちや嫌なことを手放したい気持ちはすごく強いのに、どこかで社会やお金に縋って生きていた。
いつも行動の原動力のどこかに不安があった。
でも、それを手放した。
手放すと決めた。
それが、穂高養生園の始まりだった。
養生園での暮らしは楽しいこといっぱい。
でも同じくらい辛いこともいっぱい。
自分自身の裸の姿に向き合う感覚で、一つ一つが見逃せられない。だから辛い。
でも、友達でもない、家族でもない、でも他人でもないような人との濃いつながりや関わりの中で色んなことに気付かされて、たくさん励まされて、時に自分では受け止められない自分をそのまま認めてくれた。
そして何より雄大な自然がいつも大切なことを教えてくれて、受け入れてくれた。
そんな時間が過ぎて季節も瞬く間に変化して、今また同じ暮らしに立ち戻ったとき、
自分の中に不安というものが消えていることに気がつきました。
今を楽しんで、今を大切にしていると、自ずとその次が見えてくるんだと、無意識のうちに自分の感覚が大きく変化していました。
今まではどこか自分のためのようで誰かや何かのためだった。
でも、自分のための時間を過ごしていく中で、不思議と周りもいい方向へ変化して、自分を愛して、大切にしていくことの奥深さを知ったかけがえのない時間。
特別ではないけど、自分の中で格別な時間を過ごすことができたのだと、日に日に極まっていく冬の寒さと同時に色んな感情や感覚を感じるこの頃なのでした。
来年の春、また雪解けをして春を迎えていくアルプスの山を歩ける日を楽しみに、この冬を過ごしていきます。
この8ヶ月を支えてくれた大切なみんなとパートナー、家族に、そして帰れる場所があることに心から感謝を込めて。