今年は、生き方を少しずつ変えてみる。
このお正月、20年ぶりくらいに高橋歩さんの『FREEDOM』や『LOVE & FREE』を本棚から引っ張り出してきてページをめくってみた。
大学生の頃、大好きだった本。
「夢は逃げない。逃げるのはいつも自分だ。」
「そんなに嫌なら、やめちゃえば?」
「たった一度の有限な人生。やりたくないことやってる暇はない」とか。
放浪しちゃえば?のキャッチは強烈なインパクトだったし、常にはみ出さず進むよう求められ、先が透けて見えてしまうような人生への反発。何者かになりたいのに、自分が何者だか分からないあの若い時代に、刺さりまくった本だった。
しかし世の中にはこの本が刺さる人と刺さらない人、2種類の人がいるらしい。と知ったのは、我が妹が二十歳になったときにこの本をプレゼントしたところ、その反応が北極かってくらい冷え切っていたから。(仲は良いです)
「いい大人が、自由とか放浪とかヤバくない…?」
現実を生きる、しっかり者の妹はマジでドン引きだった。赤面する姉。
『21世紀のトムソーヤ達へ捧ぐ』と帯に書かれた本をわたしはすごすごと持って帰り、自分の部屋の本棚に大切にしまった。あれから十数年。
どうやらわたしの心の片隅に、トムソーヤはまだ住みついていたみたい。
まあわたしもあれから色々と、経験してきたし。社会に出ても久しいし。
青臭いことばの羅列を、今の自分は鼻で笑うような大人になっているのじゃないか、とおそるおそる本を開いてびっくりよ。今読んだって名作。
たぶん昨年、話題になっていた『DIE WITH ZERO』を読んだこともある。
自由も楽しみも、老後に後回しをしない。今しかできない経験にこそ時間とお金を使い、自分がしたい人生にするという考えはどちらも同じ。
体力も気力も、やりたいことにだって賞味期限がある。
どっからどう見ても常識人で道を外れることをしなそうな夫も、実は隠れて心にトムソーヤを飼っているタイプだったりする。
体力の低下を強く感じた昨年は色々なタイムリミットについても考えるきっかけになり、新年に、この人生で一度はやってみたいこと、というのを改めて話した。
わたしたちが一番やりたいこと、それは息子に世界には色んな場所があり、色んな生き方があるよと伝えること。そして私たち自身もそれを体現してみせること。
たとえば、一度は外国で暮らしてみたい。とか、いつか小さな本屋をやってみたい。なんかも、そういう理由。
「いっちゃう?」
「いっちゃおう」
大事なことは意外とぜんぶ、こんなテンションで決めてきた。
いきなり移住はハードルが高いので。
とりあえず今年、小学校の夏休み期間は丸々、海外暮らしを体験してみようと決めた。
会社とも相談だけれど、これは仕事についての実験でもある。とんでもなく大変で無理かもしれないし、案外やれるかもしれない。
やらなきゃ分からないことだらけだけど、やれば分かる。
お金だってかかるし、子どもも学校の宿題や習い事フォローなんかもあるし。
『楽さ』で決めるなら、断然動かないほうが楽だ。
だけど、まあ、気になることはやってみようじゃないのよ。
この世界には色んな場所があり、今いる場所の決まりごとは当たりまえじゃないということ。日本とは違う空気を吸い、違う時間の流れに身を置いて、どこでだって生きていけるのだということを、息子も肌で感じてくれたなら。
そんな感じで大小さまざまあるけれど、久しぶりに今年の目標というものをいくつかたててみた。
確か、ジェーン・スーさんのエッセイにも書いてあったのだ。
「めんどくさい」と「わからない」に飲み込まれると死ぬぞ、と。
生粋のめんどくさがりで、いつだってその二つに流されそうになる自分なので。
すぐに叶わなくたっていい。のんびりでいい。
ただ同じことだけを繰り返していると、一年は驚くほど早く過ぎ去ってしまうから。
ひとつずつ、小さな夢を口にしていこう。