韓国嫁の務め
韓国人男性と結婚後、韓国に移り住む日本人女性や在日コリアンの知り合いがたくさんいます。
皆さん、口を揃えて大変さを訴えることの一つに、先祖の霊を祭るチェサ(祭祀)やチャレ(茶礼)などの儀式。
旧正月や旧盆の朝に行う儀式をチャレ(茶礼)と呼び、命日の法事をチェサ(祭祀)といいますが、基本的な形式やお供え物は同じです。
私も韓国で暮らし始めた頃、夫の田舎の実家で行われるこれらの儀式が苦痛で苦痛で大変でした。古い家の使いにくいキッチン、シャワーやトイレ、寝床の不便さ等が大変さの主な理由でした。
一人息子の夫が海外駐在員として東京で暮らすことになったのを機に、これらの儀式をすべて私が引き継くことにしました。ギリギリまで引き継がないほうがいいよ…というアドバイスもありましたが、とにかく田舎に行かなくて済むし、自分の家のキッチンで快適にお料理できる…というメリットのほうが私には大きかったので迷いはありませんでした。
私が執り行うようになって10年近くになりましたが、やはり正解だったな…と思います。
色々な無駄を省き、お料理も今の時代に合わせて少しずつアレンジしたり、快適な空間で気持ちよくお料理できる…等々、メリットだらけです。
しかも夫の姉妹(5人!)が私に感謝感謝という態度で、今まで以上に大事にしてくれています。こんな大変な仕事を任せてごめんね…という感じで、毎回大いに手伝ってくれたり、山ほどのお土産を持ってきたり、現金でお小遣いをくれたりと、恐縮するほどです。
好きな音楽をかけて、きれいなお花を飾って、家をピカピカに掃除して…と、なるべく楽しめるような環境を整えて、1週間ほど前から準備態勢に突入します。
家庭や地方によって少しずつ異なりますが、我が家でナムル3種類か5種類(奇数にするべきらしいです)、スープ2種類、果物、魚、お肉、プチンゲ類、お餅、栗、ナツメ…等がメインです。
お姉さまたち家族と和気あいあい、一緒に食事する機会なんてあまりないので、みんなを招待してご馳走する日!と決めて、楽しんでいます。
今年もとても楽しい会話が行交い、いい交流の時間でした。
居心地よく過ごして帰ってくれると、気持ちいいですよね。
一番大変なナムルは、トラジナムル(桔梗の根)です。
皮むき、細く割く作業、苦みを除くための塩もみ数回…と、ナムルとして完成するまでの工程が多くて。
単調な作業はお気に入りのポッドキャストやアマゾンオーディブルで、日本の小説を耳読書しながら、楽しく進めます。家事をしながら耳で読書できるなんて、本当にありがたい時代ですよね。
昔は日本の本や雑誌を買いにわざわざソウルの大手書店まで出かけたり、日本から送ってもらってたのに~~~(隔世の感)
地味な作業をサクサクこなし、今回も美味しい!とみんなに褒めてもらえ、やりがいがありました。
他のメニューも少しずつ、日本風の味付けにしたり、自分なりのアレンジを加えています。チェサには辛い物は一切供えないので、にんにくやトウガラシは使いません。
今年も無事に命日が終わりました。
嫁の大きな務めですが、終わった後は自分にたっぷりご褒美を与えています。堂々と…!笑
美容院、ネイル、お買い物、マッサージ…が定番ですが、達成感に浸りながら、数日はゆったり過ごします。
がんばった自分を褒めてあげることも大切ですよね。
在韓妻の皆さん、嫁業はキツイですが自分の機嫌をとりつつ、一緒にファイティンしましょうね!