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週刊【演技note】 Lesson⑮ 私のセリフは誰のもの?

はい1週間のご無沙汰でした。
nora3です。
ついこないだまで暑い暑い言ってた気がするんですが、あっという間に年の瀬ですね。
僕ももうすぐ冬休みです。
あったかい部屋でぐうたらしながら、観たいけど時間が無くてまだ観ていない韓国ドラマを一気見するのが楽しみです。
実はもう何年も韓国ドラマにハマっていて、オススメしたいドラマがいっぱいあるので、いつかそのお話もしたいと思いますが。

とりあえず今日は「セリフ」ですね。
台本をもらったら、その台本とどういう風に接するか。
間違った扱いをすると、間違った結果にまっしぐらなので、やってはいけない事と、やるべき事をやる順番について、前回はお話しました。

そして、やるべきことをやり終えたら、それ以上台本をいじくりまわさないで下さい、とお願いしました。
マーカーや書き込みでグチャグチャになった台本を、後生大事に抱えていつまでも齧り付いている人がプロの俳優さんでも少なからずいますが、それはやらない方がいいと思います。
その理由を今日はお話していきます。

書き込みだらけの台本を握りしめている人に台本を見せてもらうと、大体こんな事が書いてある場合が多いです。

「ここは強く」
「長めに間をとる」
「語尾を上げる」
「相手のセリフを食い気味に」
「ゆっくり、一言一言区切るように」
「だんだんと速く」

こういう事が行間や空白にびっしり書いてあるんです。
おそらくとっても真面目な人なんだと思います。
自分で一生懸命考えた言い回しや、演出家に出されたダメ出しを、忘れないように書き込んでいるわけです。
そして、それを頼りに練習する。
家でも稽古場でも。

はっきり言いますが、このやり方は良くありません。
良くありませんが、現状日本では、まだまだこういう風なやり方をしている人が多いし、そういう指導をされてしまいます。
演じる人だけでなく、演出家や監督やディレクターやシナリオライターや戯曲作家の中にも、そういう演技の作り方が好みだったり、それしか知らない人も多いです。

これらのやり方は、いわゆる古い、昔からの伝統的なやり方です。
みんな、自分が教えてもらった方法で、ずっとやってるんですね。
それで自分がやってきたから、その方法で後進も指導してしまうし、自分の作品もそれで創ってしまいます。
そういう、過去の継承だけの創作活動をずっと続けていて、そこに何の疑問も湧き上がってこないとしたら、それは一種の悲劇です。

先ほどの台本書き込みの例は、全て「セリフの喋り方」に関する書き込みです。
それを守って、練習して、それ通りに喋れることを目標にしているわけです。

「さあ、ここは強く言うぞ!」
「長めの間だから・・・このくらいか?」
「この辺から語尾をこう上げる!」
「セリフを食うぞ・・・ヨシ今だ!」
「もっとゆっくり、滑舌良くハッキリ」
「最初ゆっくりで・・・この辺からだんだん速く!」

そういう事を脳内で考えながら真面目に何度も何度も練習して、まるで印画紙に写真を定着させるように、セリフの言い方を固めて定着させてしまいます。

1つの言い方、1つの表現で固定されたセリフは、使いものになりません。

人生は写真じゃありません。
今この瞬間、生きて動いています。
人間はそういう風に喋りません。
何かを喋る前に、どういう喋り方をするか、考えて、練習して、喋りません。
何かを喋ろうと決めていたとしても、その言い方は、相手や状況によって刻々と影響を受けて、変わっていきます。

全ての言葉は、発せられるその瞬間に生まれているわけです。
人間は、そういう風に喋ります。

なので、人生を演じる俳優も、そういう風に喋るべきだと思います。

「そんなこと言ったって、お芝居なんだから、どう喋るか考えておかないと」
「準備が大事って言ったじゃん。喋り方も準備しておくべきでしょ?」
「舞台上とかカメラの前で、その瞬間に言い方決めるなんて無理」

みたいな声が聞こえる気がしますが。

でも違うんです。
セリフにある穴(自分の知識が足りない部分)を全部埋めて、そしてセリフを全部覚えたら、それ以上あなたにできることはありません。

その先は「役」がやります。
どんな風に喋るかは、あなたがもらった「役」が決めるんです。
本日のタイトルの「私のセリフは誰のもの?」に答えますね。

あなたがもらったあなたのセリフは、実はあなたのものじゃなく、「役」のものです。

セリフを覚えて穴を埋めたら、次にあなたがやることは、台本をほじくり回すことではなく、「役」になることです。
もしタイミングが合えば(事前に役に関する情報が豊富にあれば)先に「役」になって、それからセリフを覚えてもいいくらいです(実際撮影に何ヶ月もかかるドラマでは、先に役ができていて、後から次回分の台本ができてきたりしますよね)。

あなたが「役」になれば、あなたが覚えて穴を埋めたセリフは、「役」が「役」として「役」らしく喋ってくれます。
いわばあなた自身が「生きる台本」であり、あなたの中にセリフが記憶してあれば、「役」がその言葉を「喋りたいように」喋ってくれます。

学校や職場なんかで、毎日日替わりで一人ずつ、社訓とか今月の目標とか何かのルールとか、同じ言葉を言わされたり読まされたりすることってありませんか?
全く同じ言葉を喋っても、一人一人見事にみんな違うわけです。
人が変われば、喋り方も全然変わるという事です。

これが、あなた自身が台本をこねくり回さず、「役」に任せた方がいい理由です。
単調に、抑揚なく、色を付けず、しかし穴だけは埋めて、「ただ」覚えればいい理由になります。

「まあわかったけど・・・じゃあ、どうやって役になるのさ?」

はい。
当然そうなりますよね。
ここからが一番面白いところです。

が。
結構長くなったので、本日はこの辺で終わろうと思います。
が。
やっぱり1つだけ。

「役」になるのに一番必要なのは、イメージです。
イメージする力。
イマジネーション力。
それが要ります。

「準備の準備」編のLesson⑨で「溢れ出るイメージで遊ぶ!」というのをやりましたが、みなさんイメージで遊んでますか?
未読の方は一度読んでみてくださいね。

イメージ遊びは本当に面白いです。
子供のように集中して遊べば遊ぶほどイメージする力がついてきます。
また、イマジネーション豊かな人になるには、読書がとってもおすすめです。

次回は、なぜ「役」になるためにイメージの力が必要なのか、なぜイメージが演じる人の強い味方なのかについて掘り下げてみたいと思いまーす。

本日の重要ポイント

あなたのセリフはあなたのものじゃなく、実は「役」のもの

でした。


ではまた次の日曜日に!






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nora3
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