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北京入院物語(44)

 一般病棟に移っていろんなことがありましたが、まず変わったことは夜の9時に看護師を呼んで寝返りと消灯を頼んだことです。
それは看護師の仕事じゃないのという方は、中国のことをよく知らない方です。

 元に戻りますが、国際医療部の夜間体制は看護師2名とフーゴン1名が待機しています。
看護師とフーゴンははっきり上下関係があり、フーゴンがいるときは、医療行為を除いて、看護師はなにもする必要がないのです。
ですから周さんが帰った後、就寝の寝返りと消灯はフーゴンの仕事なのです。

 つまり、国際医療部のナースステーションには常にフーゴンが1名いますので、看護師は雑務を開放され、医療行為のみに専従します。
ましてや私は専属のフーゴンを利用していますから、医療行為以外は看護師を呼んではいけないというのが中国のおきてだったのです。

 入院直後、尿意がしてそのおきてを知らず、不用意に国際医療部の看護師を呼んで「おしっこをさせて」と言ったことがありました。
呼ばれた看護師は憤然として何もいわずに帰って、しばらくしてナースステーションのフーゴンが飛んできました。



 そんな事情ですので、夜に周さんが帰ると、フーゴンがいない12階のナースステーションは、(しかたなく)私の寝返りと消灯をする羽目になったのです。
もちろんこの作業が重労働であったわけではありませんが、金持ちの中国人であれば24時間フーゴンを雇いますので、この作業すら看護師の仕事でなかったかもしれません。
北京入院物語(45)

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