北京入院物語(83)
以前言いましたが、私はよく心理学(深層心理学)の本を読み、人の心の奥底ほど複雑怪奇なものはないと考える人です。
この日本人の心の奥底もまた複雑怪奇と言わざるを得ません。
ただ彼と接していると、すぐに心の奥底にものすごい劣等感持っていることは、こちらにビンビン伝わってきます。
不思議なことに心の奥底に劣等感がある人ほど中国人に対して威張っています。
今から書くことは一般に言えることであって、当然すべての人に当てはめるつもりはありません。
こういうタイプの人を数人知るようになり、だんだんとわかってきたことは、得てしてこういうタイプは、日本の社会ではうまくやっていけず、中国に派遣されてきた人であるということです。
またこういった人たちは日本では大きな会社の組織に属していて
日本の社会では浮いているタイプの人が多かったのです。
大きな会社ではそういった日本社会ではうまくやって行けない人に、海外駐在専門職員として仕事を割り当てることがあるようです。
つまりそういった人たちの劣等感というのでは簡単に言うと、日本では役に立たないから中国(外国)に捨てられたというものです
大企業というのは海外に駐在員を送る場合、それなりの立場と待遇を用意するようです。
それは大きな家であったり、おかかえ運転手付の車であったり、あるいはメイドといわれる人たちを用意することです
日本から劣等感を抱えたまま中国に赴任してきた人たちは、そのはけ口を中国人に向けるというわけです。
中国というのは物価が1/10であると言いましたが、日本から持ってきて1万円は10万円としての価値があります
この10倍に膨らんだ最大の理由は、日本と中国の経済の差というべきでしょうが、そういった人たちは自分が10倍ほど偉くなったように勘違いすることは珍しくありません。
会社の金で入院費を払ってもらっているのに、自分のお金でこの病院を独占し、殿様のつもりになり看護師や医師をあごで使うようになり、日本から捨てられたコンプレックスの解消に努めます。
しかしそういったタイプの人を中国の人が尊敬するかというと、一見従順ではありますが、心の奥底では馬鹿にされています。
私はそういったタイプの日本人の味方になる気持ちにもなれず、どちらかというと、喫茶店のお嬢さんと一緒になり、そういった日本人の悪口を言っていました。
もし私の語学力がもう少し高ければ、彼らがなぜそういうことをするのか説明できたかもしれません。
しかし彼らのそういった尊大な態度を見ていると、あまり熱のこもった弁明はしなかったでしょう。
北京入院物語(84)