北京入院物語(56)
日本にいたときは周さんのようなタイプの人間には遭遇したことがありませんでしたので、どういう風に対処したら良いかおろおろしていました。
しかし、手を打たないことには事態はドンドン悪化し、彼はますます自由気ままになり、命令・指示を拒絶するのは分かりきったことでした。
このことは以前から分かっていたことでしたが、問題は代わりの人間が彼よりよいか悪いかです。
これはいうなれば賭けです。
試してみて比較するということもできません。
だからずるずると結論を先延ばしにしていたのです。
中国というところは、どんな付き添いがいるかまったく分かりません。
当たりはずれがあることを覚悟しなくてはなりません。
その技量、能力、勤務態度にはかなりのバラつきがありますし、絶対にたずなを離してはいけません。
いわばロディオの荒馬に乗っているように心がけるべきです。
それでもどうしようもない時は、はっきりその馬を変えるのが正解です。
良いものを選び、悪いものははっきり切り捨てないと生活できません。
これほどはっきりと自分の意思や態度を迫られるとは思っても見ませんでした。
結論は分かり、何をしたらいいかも分かっていましたが、踏ん切りはなかなかつきませんでした。
北京入院物語(57)