北京入院物語(28)
万里の長城に登ったということは、ひと時の出来事に過ぎないのかもしれません。
しかし私にとっては、諦めかけていたことをやり遂げた、何とも言えない充実感がありました。
挑戦すること、まずやってみること・・・この大切さを教えてくれる出来事になりました。
この万里の長城に関しては非常に不思議な話があります。
私は全く歩けないのですが、なんの打ち合わせもなく、私の中国の友達3人がそれぞれ夢の中で、私が万里の長城を登っていくのを見たそうです。
叶琳が一番最初に夢を見た1人で、私と初めて会ったその晩に見たということです。
彼女は正夢になることを願うとファックスで送ってくれました。
ちなみに中国語では夢は見たとは言わずに、夢を作ったと言います。
万里の長城に登った翌日、周さんは何か頭にくることがあったようです。
車椅子で病院の中をいろいろと見て回るのに協力してくれていたので、この日も同じ「乗り」で、病院の売店まで車椅子を押してくれたまではよかったのです。
ところが、彼にとっては何の興味も引かない売店の品物の前で、じーと見入って動かない私にいらだち、突然「俺は部屋に戻る」と言うと、私を置き去りにして帰ってしまいました。
あまりのことに私は何もできませんでした。
本当はこのとき、彼を首にすればよかったのです。
過激でもそれが一番よかったということは、この後段々わかって来ます。
悪いことは重なるもので、さらにその晩、もっといやなことが起こりました。
日本円を勘定してみると、何回数えても1万円札が1枚足りないのです。
私は叶琳の言葉を思い出していました。
「いい?1万円札が9枚、千円札が8枚あるのよ、一緒に入れておくわよ」
どんなに勘定してみても、1万円札が8枚しかありませんでした。
日本円を使う場所などないし、使った覚えもありません。
日本がいかに安全かということに少し気がつきました。
凄腕のスリがいるのです!。
肌身離さず腰に巻きつけてあるウエストポーチから、お金を抜き取るプロが・・・。
北京入院物語(29)
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