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北京入院物語(95)

 その当時すでに45歳を迎えている私が、26歳の独身中国人看護師を繁華街に連れ出すということはどういえばいいのか・・・たとえば、「なにかほしいものはない?」みたいな中年のおじさんみたいな感じで誘わなかったとは言いません!。
言いませんが、単に繁華街を巡り、彼女の写真をとっただけで、え?これがほしい?・・というようなことはしませんでした。

 彼女以外にも例の「司」という既婚看護師とも遊びにいったこともありますが、中国では病棟の病人と個人的に接触してはならないというような日本流の不文律(通達)はないようです。

 考えればこの時期、毎日通っていた鍼灸科の外国人研修生ともけっこう仲良くなり、一緒に写真をとったり、大学から研修に来ている本科の中国人とも親しくしていました。

 中国という異国で外国人同士が親しくなるというのは、さして珍しいことではありません。
私はそうして多くの外国人と友だち関係になり、メールをやり取りしました。
しかしどういう理由から自分が本国に帰ってしまうと、その関係が終わってしまうというようなものでした。
それはいうなれば異国という特殊な環境がなせるわざであって、その環境がなくなってしまうとどこか熱が冷めてしまうようになってしまいました。
 異国における外国人同士の友情は、高山にしか咲かないきれいな花のようなものであって、どこかはかないものでした。
北京入院物語(96)

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