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北京ドタバタ旅行(50)

こういうこともあろうかと私は、中国語の辞書をレストランまで持ってきていました。食べ方という言葉を調べますと、吃法と書いてあります。吃というのが食べるということは知っていましたから、この漢字を通りかかった小姐に見せますと、餃子の皮のようなものの上に鴨を置き、野菜を乗せ、最期にどろどろした海苔のようなものを塗り、最期に皮で包んで見せて、こういう風に食べるのだと教えてくれました。そのどろどろしたものはちょうど日本の味噌みたいな味がしました。

 とにかく、テーブル一杯の料理を手当たり次第食べるのですから、大変です。おまけに私は自分で食べるのが難しいですから、母に食べさせてもらわねばなりません。


 その食べているさなか、又、父が
ハチが喜ぶなぁ
と言い出しました。ハチというのは我が家の雑種犬です。父はハチまで北京に連れてきたと勘違いしているのでしょうか?いや、むしろ日本で食べているように勘違いしていると考えた方が良さそうです。

 比較的小康状態を保っていた父の精神状態はこの北京烤鴨によってまたグラグラし始めました。なんというか不気味な気持ちを抑えながら、料理を食べていましたが、さすがにすべてを食べるのは無理です。

 隣の、1人で食べていた女性は食べ残した料理を、発泡スチロールの容器に入れてもらっています。けちな我が家は早速同じことをお店の人に頼み
「ヒッヒ、これでまた明日の朝食が浮いたわね」
などと思いながら、残り物を入れ終わると、私が勘定を払いました。

 その値段はお腹1杯食べて、おまけに朝食までもってかえって、北京烤鴨も食べて、日本円で1200円でした。
「日本でなら1万円は超えるだろうなぁ、、、」
などと思いながら
「ああ、北京だなぁ、、」
と実感しました。

北京ドタバタ旅行(51)

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