夏、感情の配分
ツイン・ファンタジーはすでに想定されたことがあるし、ヘロインはもう十分な量をブラックホールのほうにあずけたし、私だとわかるような印鑑は私の思うすべての場所につけておいた。私は情報なんだと、念なんだと、社会の隅から隅まで、この主張を言いふらそうという気概だった。病床で泣き叫ぶ患者はきっと私に似ている。だからたくさん入院もするんだ。世界中の病院にはいりたい。星か、黒点か、とにかく夢にでてきたものをずっとみつめて過ごす。生きながらえることは、なにものかにこれを示すこと。最近ほんとうの暗闇を見ていないなと思う、やっぱり、あなたもだけれど、赤や苺色の点滅ばっかり求めすぎている。潮時になれば漕ぎだすだろう。なにものの視線も私はうけなくてよくなるだろう。曲芸師が仕事で笑う、蝉も電気もざわざわ笑う。語り尽くされた伝説が、ぼろぼろになって、私のもとに流れつく。海の水を飲みほす空想に日々を割いた。いつまでもつかは、もうわからない。
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