このまちの、「あたりまえ」が愛しい。
北海道の冬。
小さいころから、肌を刺すような寒さは当たり前だった。
氷点下20℃を超える寒さでの通学は、子供ながらに堪える。
ドライヤーできちんと乾かさなかった髪は、外を歩けばあっという間にでパリパリになるし、
鼻をすすっても呼吸がし辛い。
少し水気があればたちまちに凍ってしまう世界。
朝早くゴミを捨てに行けば、晴れた日は空気がキラキラと光る。ダイヤモンドダストはそこらに舞う。
雪がどっさり降って自分の身長を超えることもある。吹雪でまったく前が見えなくても車は走る。
そんな当たり前は、すべての当たり前ではない。
大人になって、東京で暮らすようになって気づく。
いろんな店に行ったけれど、幼い頃から家族とよく食べた近所のちいさなラーメンが一番好きだ。
スタバはうんと少ないけど、駅前にある昔からある喫茶店に母と行くのが好きだ。
なんにも無い街だと、早くこのまちから出てたくさんのことを知りたいと思っていた。
このまちを出て、たくさんのことを知った。たくさんの素晴らしいものを見て、感じた。
けれど、やはり愛しいまちは、この何もないと思っていたこのまち。
ひとつひとつが大切で、何も持っていなかったのは自分だった
春は桜が5月に咲いて、
梅雨がなくて、カラッとした夏、
お盆を過ぎればすっかり秋、
雪が降ればついに冬
豊かな四季もたのしい。
やさしいやさしいこのまちと、もっと関わりたい。
北海道はいいよ。
やさしいやさしい、ゆるやかで、穏やかなまち。
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