𓂃𓈒𓏸 𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑 𓂃𓈒𓏸 2024年7月号

定期購読マガジン 『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』 2024年7月号をお届けします

NOOKの活動をもっといろんな方に知ってもらう機会になればと、月に一度、𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑を配信しています。
ご購読いただいた売上は、NOOKの活動を継続するための資金として使わせていただきます。またNOOKのWebサイトより、直接ご寄付いただくことも可能です。わたしたちの活動はちいさなものですが、この記録組織を変わらずに続けていくために、どうかご支援いただけますと幸いです。

𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑限定のコンテンツは現時点で大きく３つになります。

✦ 語らいの記録 ✎𓂃
『語らいの記録』では、多くの旅を通じて出会った語りを絵画や文章で記録し続けている画家・作家の瀬尾夏美が、毎月ひとつの語りを取り上げ、その語りが生まれた空間をやわらかな文章で編み直します。

✦ 今月の絵手紙 𓍯
『今月の絵手紙』では、画家・作家の瀬尾夏美と、美術作家の佐竹真紀子が毎月担当を交代しながら、ドローイングを交えたみなさまへの絵手紙をお届けします。

✦ 今月のエッセイ 𓅯 ⸒⸒
『今月のエッセイ』では、主に劇作家・演出家である中村大地、映像作家の小森はるか、リトアニア在住の美術家 磯崎未菜、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平が、交代でエッセイを執筆します。自身の活動についてや、最近ハマっていること、海外での驚きの出来事など、それぞれの視点から紡ぐ季節のエッセイをお楽しみください。

他にも、 NOOKメンバーにやってみてほしいこと、聞きたいこと、お願いしたいことなど、新コーナーのアイディアをいつでも大募集しております。各SNSでのリプライや、ハッシュタグ #NOOKLETTER にて教えてください。❀´-

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今月のラインナップ

語らいの記録：
「兵隊さんはそのままお国に帰っていった（江東区の団地にて）」（瀬尾夏美）

今月の絵手紙：
「茨城県大子町　川のそばのりんご畑」（佐竹真紀子）

今月のエッセイ：
『テレビノークの後がたり』（中村大地）

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それではさっそく、瀬尾さん書き下ろしの語らいの記録からどうぞ。

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語らいの記録 ✎𓂃

13. 兵隊さんはそのままお国に帰っていった（江東区の団地にて）

江東区の団地内にある事務所にいると、いろんな人がやってくる。たいていの場合、ここはいったいなんの場所なの？と不思議そうに尋ねられるので、そのたびに、わたしたち（NOOK）は映像やテキストで語りを記録していて、とか、災害や災禍の資料を集めているので開架しています、とかお伝えする。すると、ほお……とさらに不思議そうな顔になりつつも、ちょっとした立ち話が始まる。団地に住むお年寄りは、高度経済成長期に上京してきた人たちが多く、様々な国（特にインドが多い）から来ている人もいて、思いがけない土地や時代の話が聞けるので楽しい。

ある日事務所の入り口におじいさんが立っていたので声をかけると、やはり、ここはなに？と尋ねられたのでお決まりのフレーズで返す。おじいさんは、ほおほおと頷いたあと、じゃああの本読んでもいいの？と言って本棚の一角を指差した。やっぱり戦争の本が読みたいのよ、と言うので、もちろんです、どうぞどうぞと招き入れる。