ぼっち飯とトイレご飯の私
14歳の私へ
元気ですか?中学校のお弁当の日。その日はクラス替えをして初めてのお弁当の日でしたね。
まだグループも定まっておらず、なんとなくの顔見知りや部活が同じ人たちがテーブルを寄せ合ってぼっち飯を回避しようとしていましたね。
そこで1人の子が言いましたね。
「何だか人数多くない?」
寄せ合った机は10個。グループを作るには多すぎたと思います。かと言って机を分割するには微妙人数。14歳のあなたは思わず口火を切ってしまいましたね。
「じゃあ私抜けるね」
抜けたからどこに行くアテもありませんでしたね。行き着いた先はトイレの個室でしたね。
1人だけで、それもトイレで食べるお弁当が虚しくて惨めで、あなたはお弁当を食べながら泣きましたね。
大丈夫。中学校でトイレご飯をするのはこれが最後になります。
19歳の私へ
大丈夫ですか?あなたは専門学校に入ったものの、勉強の過酷さや周囲との馴染めなさ、通学距離の長さに心身のバランスを崩し、太ることを極端に恐れるようになっていましたね。
朝食はお弁当のおにぎりをトイレで食べ、そのおにぎりを食べたことによる罪悪感で下剤を使い、食べた直後に排泄していましたね。
昼食は学食にも教室にも行けず、近所のコンビニまで車を出して行っていましたね。車通勤が出来る学校でよかったです。
コンビニの駐車場は昼休憩をとる会社員の車でいっぱいでしたね。
馴染めない学校よりも、コンビニの駐車場で食べる1人のお弁当に安堵感を覚えていたことを知っています。
大丈夫。2年生の後半から徐々に学校に、人に慣れていきます。
23歳の私へ。
頑張っていますね。
新卒で入ったところは忙しく、夜も遅くまで残業していましたね。
昼休憩はみんな各自のデスクでとるスタイルでしたが、みんな仕事をしながらご飯をかきこんでいました。
時々、「そのおかず美味しそう」「甘いものいいなあ、食べたくなってきた」などの軽いコミュニケーションがあなたには合っていましたね。
ぼっち飯のようでそうではない。
その空気感が心地よかったですね。
30歳のあなたへ。
2つ目の職場ですね。結婚し、出産し、家事と育児と仕事。
お弁当の時間は休憩室でみんなでとるスタイルですね。不思議なことに、あなたはぼっち飯が恋しくなっています。
家では子のお世話で1人の時間はとれません。
職場では食事中でも適度な相槌は必要です。
あんなに1人になることを恐れていたのに、人間は不思議ですね。
4月からの私へ。
春からまた、学生に逆戻りですね。
あんなに怖かったぼっち飯。
あなたは全然怖がっておらず、むしろ楽しみにしていますね。怖くてももう、トイレでお弁当を食むことはないでしょう。
今、ぼっち飯がしんどいあなたへ。トイレご飯を余儀なくされているあなたへ。
環境が変わる時がきっと来ます。
ものすごく孤独に感じ、惨めに思っているかもしれませんがそれでも。
スマホの向こうにぼっち飯仲間がいることを知っていてください。きっと美味しいご飯が食べられる時がきます。
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