Z世代への新人教育
Z世代は、1990年代後半から2012年頃までに生まれた世代をいうらしい。
今月4月に入職した新人は、この世代になる。
平成生まれが同僚になった時も何だか不思議な気がしたが、自分の子供と同じ世代が同僚になるのは感慨深くもある。
私の職場ではプリセプター制度を取っていて(いわゆるOJTみたいなもの)、入職してから1年間、ほぼ付きっきりで彼らの仕事をみる。
理学療法士や作業療法士を養成する過程で実習は欠かせないのだが、昨今は養成校も実習を受ける施設でもことなかれ主義となっているようで、以前のような指導が行われない。
以前は患者を担当して
①『患者の評価(検査・測定・動作分析など)』
②『問題点抽出』
③『治療プランの立案』
④『治療』
上記を行い、これらをレポートにまとめ、レジュメを作成し施設のスタッフの前で発表するのが通例であった。
が今は見学が主体になっていて、①程度しか行われないようだ。
(ここ5年ほど学生の実習を見ていないので詳細がわからない)
学生のうちにじっくりと症例に取り組み、指導されながら④の治療まで一通り経験することが実習であったがこれを経ないまま入職してくることになる。
つまり患者に触れた経験も、自分の頭を使って思考する経験も持たないまま就職することになるのだ。
そんな新人Aに対してプリセプターとして指導に入ったのだが、私の指導が厳しいと他のスタッフに報告があった。
「この患者がなぜ車椅子に移るのに介助を要するのか問題点を挙げてみて」と新人Aに問うたところ
「わかりません」
「わかりません」
「わかりません」
と思考を放棄したような返事。そのまま泣いて出て行ってしまった。
「えええ!?」
問題点を聞いてはいけなかったのか?
もちろん詰問するでなく、間違った答えを出したところで責めるわけでもないのに。
私はその新人Aに「怖い人認定」されることとになり、彼女のプリセプターから外れた。
新人Bについた。
彼女は明るい性格で極々普通にやり取りできた(新人Aは声も小さくやり取りもやや難しかった)。私が教えることをうんうんと頷きながら聞いている。
ところがこの新人Bも私の指導の翌日、気分が落ち込んだと言うのだ。
自分のできなさ加減に落ち込んだ、と。
私は自分が何をしたのか振り返ってみた。
声音優しく、もちろん詰問などせず。
ただ患者の説明や治療のポイントなど説明しただけだ。
黙って見学しているだけでは治療ができるようにならないのでちょっと考えてもらったけど。
それがどうやらダメだったらしい。
治療の第一段階となる「評価項目」を挙げてみて、が彼女にはキツかったようだ。
それとも筋肉の起始停止を尋ねたのがいけなかったのか?
(筋肉には付着している部位がそれぞれ決まっている。解剖学の基礎であり恐らく最初に学ぶことだ。彼女は起始停止が答えられなかったので私は教えた)
新人Bが挙げた項目について私ダメ出ししてないんだけど。
うんうん、そうだね、と聞いだんだけど。
ただ有用でない項目については理由を添えて説明した。
それが自分が否定されたように感じたのか?
とにかく新人Bからも怖がられる存在になってしまった。
他のスタッフは新人に対して何をしているのかみていると、自分の患者の治療について説明をしている。新人には思考することを求めたりはしていないようだ。
Z世代と一括りにするつもりはないが、こんなにも思考できない新人だと先が思いやられる。少しずつ患者を担当させていくことになるが、テキトーに治療することになりやしないか、そして壁に当たったとき彼らが玉砕しないかが心配だ。
私はもうプリセプターから外してもらった方がいいだろう。より新人に近い年頃の若いスタッフの方が指導に適している。
彼らがキャリアを少し重ねた時、私の話はもっと聞きやすくなるだろう。