(衝撃のひと言)吃音で苦しんでいた時、初めて森田療法関連の事務所に電話したときのこと
私は、長らく吃音で苦しんでいました。
今はほとんど気にならないので、自分から吃音は治ったと言ってますし、そう思っています。
吃音で苦しんでいた時、初めて森田療法関連の事務所に電話したことがありました。
この記事では当時のことを紹介したいと思います。
当時の私の仕事は営業職だったこともあり、社内で電話を取る、掛けることが多くありました。
会社は比較的イケイケの若い会社で、電話コールが1回なったら取るという元気の良さでした。
そこで吃音に苦しみ、それを隠していました。
当時の私の頭の中は吃音一色で、自分の吃音をに他人に知られると自分の人生は終わるだろうと間違った認識を持っていました。
そんな苦しみの絶頂の時に森田療法の本を偶然本屋で手にすることになり、森田療法で自分の吃音は治るだろうと変な確信を得ることが出来ました。
そこで書籍の後ろに書かれている(今では忘れてしまいましたが)森田療法関連の事務所に何とかこの吃音を治したい、死ぬほど苦しい吃音を治したいと電話することにしました。
治したい気持ちいっぱいでした。
初めて森田療法関連の事務所に電話して言われた衝撃のひと言
今でもはっきり覚えています。
仕事途中で外出先の営業車の中から電話をしました。
まだ携帯電話も普及していない当時は、車電話が流行っていた頃で、営業途中に人があまり通らない道に車を停めました。
今では考えられないですが、車の中からの電話とは言え周りに人がいたら自分の話の内容を聞かれてしまうのではないかと恐怖がありました。
電話をすると初老の落ち着いた男性が出てくれました。
そこでひと通り自分の吃音の症状を説明したところその男性が言ったことは、衝撃で今でも忘れません。
「吃音は、治そう治そうと思ったら治りませんよ」
電話する時、どんなに説明したら分かってもらえるだろうか?上手く自分の苦しさを伝えることが出来るだろうか?と不安に思って電話しました。
私の希望では、「それは、〇〇をすれば良くなります」とか「〇〇クリニックの先生を紹介しますよ」など、前向きな回答が欲しかったのです。
ところが、その男性からの回答は「吃音は、治そう治そうと思ったら治りません。」
治したい、この地獄のような苦しみから早く解放されたいと意を決して電話した回答がこれでした。
なんで?
ショックでした。
それでも森田療法の理屈は数冊の本を読んで理解していたので、「森田療法で治る。森田療法で治るはず。」という考えは変わりませんでした。
そこから何とかめげずに森田療法を勉強することで、今では地獄の苦しみの吃音から解放されることが出来ました。
当時の男性のひと言は、自分にとっては怒りでしかなかったですが、ほとんどよくなって冷静な頭で考えると、当時の男性が言った言葉も理解できるようになりました。
「吃音は、治そう治そうと思うと治らない」は、森田療法的にはほとんど正しいのですが、初心者にはかなり説明不足でした。
「吃音は、治そう治そうと24時間吃音に意識が向かっている時は、意識がますます吃音に集中してしまうから治らない」
吃音に関して調べていると言友会を立ち上げて現在日本吃音臨床研究会の伊藤会長の記事を目にすることも多くなりました。
おそらく伊藤氏は、日本で最も吃音のことを真剣に考えている人の一人だと思います。
その伊藤氏が言っている「吃音は、どう治すかではなく、どう生きるかの問題だ」という説明が、森田療法の治し方とかなり近いんです。(伊藤氏の場合、治し方ではないと思いますが。)
おそらくここまで読んでいただいて吃音で今苦しんでいる人は、「吃音ってそんなものなんですか。」とショックを受けているかもしれません。
いや違うんです。
吃音は、治らないと完全に開きなおったところから治る道が開けてきます。
これを森田療法では「あるがまま」と少し難しいいい方で説明し、伊藤氏の場合は、「どう生きるかの問題」と説明しているのだと思います。
とにかく、言えることは吃音は苦しいです。
Twitterでも「この吃音さえなければ」と嘆いている人が多くいます。
この記事で少しでも吃音で苦しんでいる方の治るきっかけになれば、嬉しく思います。