湯船の中のウルトラマンでIPPON
夫単身赴任中につき、子供達の諸々や家事を全て終えると、私の任務終了。
一人で入るお風呂が至福の時だ。
夫が不在というのは、生活のリズムという面では、子供のペース・夫のペースという、合わせざるを得ないものの1つが無くなるのだから、正直楽な面もある。
ただ、子供の「ママ~~~」を四六時中聞き入れるのは、一人では大変。(なので、スルー)子育てというのは、村全体でするものと聞いたことがあるけど、大人の手はいくつあってもいいなぁとは思う。
特に、親も子も疲れて、余裕がなくなる夕方。
少しでも、なんかの悪い連鎖が起こってしまった日には、その場は荒れに荒れる、危険な時間帯だ。
娘と息子が揉めだす、そして泣きだす。ママに助けを求める。ママも余裕ない。子供達声でかくなる。謎にママのせいにされる。
(時々これに、水物が溢れる、おもちゃが破損もしくは紛失、誰かがどこかに体の一部をぶつけるなどのオプションもつく)
最後、ママ怒る。
こういう時、「ごめんなさい」と素直に謝れるのは子供だったりする。
誰も悪くないねってことも結構あるのに。子供は謝れる。
大人のがよっぽど子供で、謝れないのだ。
このことに気付いてからは、私も素直に謝るし、母の機嫌で理不尽に怒り狂った時は非を認める。
まぁそんなで、夕方は、平和に過ぎてくれたとしてもバタバタするし、何か起こった時は、疲れているのに自分自身の本質を見つめ直さざるを得ないようなことが起こりえるので、気を付けたい時間帯だ。
しかし、この嵐の時間を終えると、子供達はあとは寝るだけ。この状態で母は閉店となる。
スイッチだとか、タブレットだとか、もう母は閉店、その場は治外法権なので、やりたいようにやってくださいな時間に突入する。
そこで、やっとお風呂だ。
私はお風呂が好きだということに最近気づいた。そして、いざ、癒しの風呂へ。。
と扉を開けると、
湯船の底はおもちゃ、おもちゃ、おもちゃ。そして、ボディーソープや入浴剤のボトルが浮いていた(中身入ってます)
汚い。風呂が汚い。
癒しのはずの風呂が、味方だったはずの風呂が、まだ掃除が残ってるぞと言ってくる。
はぁと肩を落とす。全裸だからか、いつも以上に肩が落ちた気がして、疲労が増した。
片付けるか・・と浴槽に手を伸ばすと、沢山のおもちゃの中に、ウルトラマンがいることに気付いた。
そのウルトラマンは、上半身のみで両手をあげていた。
その姿は、「もう、しらーーん」と言って、戦いを放棄して風呂に潜っているように見えた。
私は、笑ってしまった。
私も、「もうしらーーん」と両手を挙げて、そのおもちゃにまみれた湯船につかった。
「おもちゃ片付けてよ」と子供達にイライラしながら入るより、「もうしらーん」って思う方がなんか良いな。
綺麗な方がそりゃ気持ちいいのだろうが、この湯船でも私の癒され度は変わらなかった。
体も温まり、浴槽を出た。
まだ、そこにウルトラマンは沈んでいた。
今度は「風呂さいこーー」って言ってるようで、気持ち良さそうだった。
上半身だけのウルトラマン。子供がいると、一人で暮らしてたら絶対に起こりえない場面に遭遇することがある。
なんでも、笑いに昇華させようとするのは私の良いところだと思う。
松っちゃんが、先日ツイッターで「不安や悲しみを笑いに変えてみな」と呟いていた。
心に刺さりまくった。
育児もそうしていきたいし、子供にもそう伝えていきたい。
なんなら、「不安や悲しみを笑いに変える屋さん」になりたい。
風呂上がり、私は、上半身だけのウルトラマンを写真に収めた。
カッシャという音ともに、IPPONグランプリの「写真で一言」という、あのナレータの声が脳内には流れていた。