淋しい心の湖畔に佇む
7月になった、なってしまった。
ついこの前、お正月でおもちを食べていた気がするのに信じられない。
おもちどこ行ったのかな。
特に4~6月が速かった。京浜急行で言えば快速特急レベルの速さであった。(ローカル線ですみません)
京急の快速はすごいですよ。ホームで通り過ぎるのを見ると、ゴォォォォとあっという間に通過する。電車が走る風圧を感じるほど。
わたしは、京急は普通電車が好きだな。
(京急では、各駅停車のことを「普通」と呼びます)
赤い電車でトコトコと、北品川、新馬場、青物横丁。あのとことんゆっくりした感じを昔から愛している。
というのは置いておいて、4~6月と言えばわたしが舌痛症&鬱のダブルコンボで休職し、そして復職した時期である。
いま思えばあっという間、というか、何もしていなかったから記憶にないのかもしれない。
確かに、あったんだけどね。ちゃんとあったんだ、休職の日々も、復職したての日々も。とても苦しんだ日々たちが。
元気になれてよかったけど、そういう日々があったということは忘れずに胸に留めておきたい。
じゃなきゃ、浮かばれないよね。そういう日々たちが。
・・・
ちょっと野球の話をしてもいいですか。
ヤクルトが、打撃は上がってきたのになんでかまだ最下位をウロウロしていることはもういい。別にいいんです。オスナとサンタナが打点1位2位なのになんでこんなに負けるのか、とかはもういいんです。ちなみに今年は後半でもうちょい上がってくるんじゃないかと思ってるよ、わたしは。
野球は毎日なんだかんだテレビで見ています。
と言っても今年はDAZNの契約をしていないので(値上げに腹を立てた)、地上波やBSで中継している試合しか観てないのですが。となると、やはり巨人戦ばかりになる。でもなんだかんだ、ナイターは楽しい。ナイターを見ながらあれやこれや言いたいことを言って見守っているのが楽しい。
あと、オールスターゲームのチケット抽選に応募してみた。今年は神宮だから激戦きわまると思うけど、まあ、ダメ元です。
野球もあと2ヶ月ちょいでレギュラーシーズンが終わると考えると、やはり速い、快速特急だ。
・・・
きのう職場にて、同僚のデビさんが、
「ののっつさんて、どんな死にかたするのが一番嫌ですか?」
とサラッと尋ねてきた。
ふーん、死にかたねえ、と、パソコンをカタカタ打ちながら(仕事です)、
「溺死です」
と答える。
「溺死ですか」
「そうですね。まずわたし泳げないので恐怖もあるし、多分すごく苦しいと思うので」
「たしかに苦しいですよね」
しばしの沈黙ののち、再びデビさんが、
「焼死も結構キツいと思うんですよね」
と言う。
「たしかに……言われてみれば焼死も苦しいかもしれません」
「雷に打たれて一瞬で、とかはいいですよね」
「はいはい。なんかもう一瞬で、という」
そんな会話をしばらくしていた。
その晩、お風呂で髪を洗っている時、ふとその会話を思い出し、
「なんだあの会話!」
と思った。職場で前後の脈略もなんもなく嫌な死に方について話すとは、あれはなんだったんだ。
それにしても、と思う。
なるべくポックリと死にたいものだな。長く苦しむのはいやだな。ピンピンコロリとはよく言ったもので……。
村上くんのホームランが頭に直撃してポックリ、とか、幸せな死に方かもしれない(でも村上くんには大変申し訳ないので避けたい)。
・・・
今日、帰宅するとポストにつーさんから手紙が届いていた。
郵便書簡の宛名の文字が、なんだか元気ない。
この9年間の友だち付き合いで、文字を見るだけで元気かどうかがなんとなく伺い知れるようになった。
「ここのところ淋しい時間が増えすぎて、今日もどうしたらいいのかも分からず、いまなんとか、この手紙に着地したところです。
この前のドーナツの差し入れありがとう。甘くて、ちゃんと味があって、美味しかった。あのドーナツの甘さは、きっと、ののっつさんの優しさだと思う。」
なんて弱々しい文字で綴ってあり、おわりには再度の「淋しい時間が多くなった」の言葉で結ばれていた。
うーん、つーさんかなり元気ないな。
そりゃそうだよな、毎日ひとりで、独房のなかで、暑くて、先も見えなくて。本当によく耐えていると思うほかない。
とはいえこちらも仕事やらなんやらでなかなか面会の日数も増やせないし……。
うむむむむ。
とりあえず手紙を、というか葉書を出そうかな。初夏らしいきれいな絵葉書をさがそう、と思う。
淋しさや苦しさの中にあるつーさんに対してわたしにできることには限りがあるけれど、淋しいつーさんをちゃんと胸にとどめるということ、そして自分にできることをできるだけやるということ、誠実であるということ。
それしかきっとできない。
人は人を淋しさから完全に救ってあげることはできないけど、でも、その人の淋しさを思い、その淋しい心の湖畔に佇むことはできる。
そんな風に思うのです。