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天日干し

暑い時にしかできない、天日干し。
この際、干せるものはなんでもやってしまいたいところです。


以前につくった古い梅干し、2018年のものも干しました。
確か天候が悪く、天日干しが不十分だった記憶があります。
5年以上経てば、塩辛さが感じない。
とてもまろやかで食べやすい梅干しになっています。
年月がたたないと出ない味、ってあることがわかりました。

毎年梅干しは大量につくり、
何年か先のことを考えておくと
いいと思いました。


ニンニクも干します。

ニンニクの長期保存がなかなか難しいので、
試しにやってみました。

ただ、ニンニクは小さく、皮をむいて切って干すのは
思いのほか、時間がかかってしまう。

それでも、一日5個などの適当なルールを決めて毎日
切って干していけば、ニンニクのスライスの天日干しができる。

乾燥スライスにんにくは、市販されていて
簡単に手に入るのですが、
やっぱり自家製が最強だと思う。

秋になれば、ニンニクは芽を出してしまう。

ニンニクの冷凍保存をしたことがありますが、
味は随分と落ちてしまいました。

ニンニクが凍れば、繊維が崩れておかしくなるのか、
とにかく、長期保存は冷凍だとうまくいかなかった。 

ニンニクの冷凍はできるけど、
味は落ちる、ってことです。おそらく、繊維か細胞が
壊れているからかもしれません。

酢漬けやニンニク酒にするのは容易ですが、
にんにくを冬にも使えるようにするには、どうすればいいか、
というのは一つの課題でした。

市販のの物ように、すぐにパリパリにはなりませんでしたが、
ニンニクの天日干しは良さそうです。

刃物を研いだので、ちょうど薄く切るには
やりやすい。 研いだ刃物の出番です。

他にも、まだ知らないだけで、
天日干しができるものは、きっと色々あるはずです。


トマトもうまくやれば、ドライトマトのような
ものができるかもしれません。


強烈な日差しと暑さは、なんとか活用したいところ。

冬物の服を軽く洗って、干すのもしていますが、
天日干しの服はやっぱり着心地がいい。

今の気温は35度を超えている日もあるので、
洗濯機の脱水は1分、もしくは手で衣類を絞るだけでも
午後には乾いていることが大半です。

極力進めているのが、
梅干しの梅酢を天日干しすることです。


梅酢。この段階でもかなり濃厚です。
梅干しのときの松葉がまだ残っています。
ホウロウの容器に広げて、天日干しにする。
毎日、少しづつしかできない。
欲張ってたくさん流し込んでも、作業は進まない。
梅のツボに網をかけておく。これだけでも少しは
乾燥は進んでくれる。
10日くらいかけたら、黒っぽくなる。
これは、梅肉エキスに近いもの。

梅酢から梅の入った塩、梅塩、とでも言ったら良いのか、
作ってみようと以前にやって見ました。

できたものが、思いのほかよかった。
偶然の発見ですが、これは、とても酸っぱい。

梅干しでも梅酢でもない。あたらしいもの。
しょっぱい、塩分がある梅肉エキスと言えると思う。


作り方は単純で、梅酢を天日干しするだけ。

ホウロウのパットなどに薄く広げて、天日干しにします。

梅酢が徐々に蒸発し、濃い赤い液体になります。
またどろっとした、濃い梅酢になります。

梅干しとはまた違ったものができます。
酸っぱさが増し、なかなかいいものです。

少し、梅肉エキスに近いとも言えます。

梅肉エキスは、もともとは、青梅の汁を絞って
天日に干していたそうです。

ただ、あまりにも効率が悪く、弱火で時間をかけて煮出す方法に
変わって行ったそうです。

梅肉エキスは1kgの青梅の絞り汁から、わずか数十グラム程度しか
できないようなものです。

煮詰めて色が変化し、さまざまな薬効があるため、
貴重です。 

梅酢の天日干しは時間をかけて、何日も干すと、
色も濃くなります。 

また古い梅酢 (古い梅干しの壺の底に
溜まっている梅酢)を天日で何に日も干すと、
さらに黒っぽい梅酢になります。

梅酢をパットに広げて干す、というのは、思いつきで
やって見たものです。

ただ、思いのほか良いものだったので、
可能な限り、作るようにしています。

これは、耳かき2杯くらいのごく少量で
十分なくらい、酸っぱいものです。

まさに梅肉エキスそのものです。

おそらく梅肉エキスと同じ原理か
似たようなものだと思います。

ご飯にとても合う。また疲れが飛ぶような、
何か凝縮された力を感じさせる、不思議なものです。

ただ、欲張ってたくさん作ろうとしても、
できない。

薄く広げて梅酢を乾かし、また梅酢を流し込んで、
天日で乾かす。 おおきなホウロウのパットが必要です。

おそらく、アルミやステンレスのパットだと、
濃い塩分に耐えられない気がします。

弱火でかき回しながら煮詰めていけば、
もしかしたら、それなりのものができるかもしれません。

ただ、個人的に、天日には何かある、って思っています。
単に乾燥させるだけではない、太陽の光を浴びることで
起こる何かです。

梅干しさえあれば、なんとかなる、
って私は思っていますが、それも天日があるからこそ。

梅酢を干して何かする、というのは、
本では見当たらなかったのですが、
通常、ツボに入れた梅酢は天日にあてます。

ちょっと我流でどうかとも思いましたが、
結構いいものができたので、毎年、梅酢で塩を作っています。

真っ黒になるくらいのものが、結構いい感じなのですが、
これがなかなかできない。

欲張って量を増やせば、ただの濃い梅酢になるだけです。
薄く伸ばして、梅酢を天日で焼き切る。

焼き切ってまた薄く伸ばして梅酢を流す。
難しくはないけど、強烈な暑い日差しがないとできないものです。


もっと濃くしていきます。
強烈に酸っぱくて塩っけがあるラズベリーの
シャーベットのようなイメージです。
ご飯によくあいます。

梅干しは、乱れた食事を正してくれる、
体調を整えてくれるもの、
気持ちを厳しくも優しく引き締めてくれるもの、って私は思っています。

たまに、何かの行事でのお下がりや、お土産等いただくこともあります。
そういったものは、ほぼ全てが化学調味料入りです。

日常で大量にそういったものを取り続けない限りは大丈夫だと思うのですが、化学調味料はごく少量で味が化けるものです。

変においしい、美味しすぎる、といったことを
感じたとき、化学調味料に引き込まれる怖さを感じたことが
ずっと前にあります。

何年か前、キャットフードをコンビニで買い、
家の猫にあげた時のことも思い出しました。

いつもの食べ物の時と違って、
まるで狂ったかのように、キャットフードに食らいつく。

美味しく、食いつきがよいように作られているんだろうけど、
あまりにもガッツガッツ食べる姿は、これはまずい、って思いました。

おそらく、異常に美味しい、って感じている。

今のレシピで化学調味料をいれるようなものは
ないと思いますが、手料理・手作りする理由の一つとして、
化学に騙されない、味覚をもっておくことがあります。

これもずいぶん前のことですが、
とある料亭で接客していた頃、「この枝豆、どうやってつくっていますか?」
と言われたことがある。

料理長に聞きにいくと、どうやら冷凍のものを
使っているという。

聞かれたら正直に答える、という考えでした。
聞かれてまずいことは、こちらから説明はしない。

夏の料理は、毎日数百人の料理を準備するわけですが、
全て丁寧にできるわけではない、ってことです。

あゆは地方から養殖のものを取り寄せるし、
コース料理数百人分となると、どこかで
手抜きに見えてしまうところがあっても、致し方がない。 

お漬け物は、盛り付けは見事ですが、
ほぼ全て、化学調味料でした。

雰囲気が良いことと、味が良いものを提供するのは
大事ですが、化けた味は、
わかる人にはわかるもの、って思いました。

妙に美味しい、変に美味しい、
止まらないくらい、と感じたら、
おそらく化学調味料が入っている、
って私は感じています。

化学の味だと、よく噛んで味わう、素材の味、季節の味を
感じることがなく、口に放り込んで食べ続けてしまう。

噛まない、食べ過ぎになるわけです。

化学調味料を使うのは、高度成長期のレシピ本にはよく出ているのですが、
梅の鬼の松本こうさいさんは当時から、相当警戒しておられたようです。

肉魚卵は酸性食品ですが、酸性食品が多い場合、
アルカリ食品を取り、中和すると
良いそうです。

ただアルカリ性と言って仮にきゅうりで酸性を
中和するなら、1kgくらいとらないといけない。

梅干しなら、5g、梅肉エキスなら、たったの1gで対応できると
いう話でした。

いかに梅干しが救ってくれているか、梅肉エキスの貴重さが
分かってきます。

あまり深く考えなくても、梅干しを日常で摂れば、
守ってくれている。

付き合いで外食や蒲鉾などのお土産をいただけば、
化学調味料入りです。ただ、せっかくの気持ちを断ったり、食べ物を破棄するのもやるせない。

いろいろいただくのは、嬉しいことです。

どうせなら、ありがたく、美味しくいただく。

ただ、自分から化学調味料をもとめない、つかわない、
だから、手料理でいこう、野菜を栽培しよう、
ってわけです。


枝豆で異変を感じた先の方は、おそらく普段は手料理が
多いのだと思います。

素材の味をそのまま感じる味覚、
いわば正常な状態だと思います。

おそらく、普段から少しの化学調味料でも
積み重なっていけば、そういった、素材の味を知る
味覚は減っていくと思う。

乱れたら、素材の味を感じない、薄い、
物足りない、って繋がります。

化学調味料は、ほんの少しだけ、というものが大半ですが、
どうやら、あからさまな害はないような話です。

ただ、化学調味料、保存料等は免疫系に何かダメージを与えるそうです。
保存料があれば、少なくとも、腐敗からは守ってはくれている。
ただ、長期間の取りすぎは未知数です。

有吉さんの話によれば、私たちは、ごく少量の化学調味料を毎日取り入れ、
排気ガスを吸う。添加物や洗剤等の界面活性剤、
その他、ごく僅かな農薬が体内に入ってくる生活をしている。

単体でみれば、有害ではないかもしれないけど、複数の種類の
そういったものを取り入れる場合は、安全とは言い切れない。
長期間の詳しい実験はされていないし、できない。

あらゆる病気などの原因を一つに特定が
できない。

だから、複合汚染という言葉で説明をされています。
要は、原因がはっきりできない、ってことです。



とはいっても、どこかから、必ずと言っていいくらい、
化学調味料は入ってきます。

過度に反応するのも、つらいところ。
だから手作りで、素材の味を大事にするような、
己の軸をもっておく。

そして、梅干しや糠漬け、味噌などの
手作りで強い体質にしておく。

梅干し、って考えてみれば、
日本人だからこそ食べられるような、
酸っぱい・しょっぱいものです。

夏にいい汗を流すことも大いに良いと思いますが、
梅干しなどが、結局、知らない間にまもってくれている、って
考えるといいと思います。

何も考えることもなく、梅干し、野草茶、薬草茶などを
つくっていますが、
先の枝豆のおばさんの影響もあるのかもしれません。

素材の味に塩や酢、味噌、醤油、昆布、鰹節などを
うまく使えば、結構いい味のものができます。

少しの量で味をよくするもの、冷凍のものって
確かに便利そうだけど、便利なもの、って意外に
くせものかもしれません。

栽培、収穫、洗浄、料理、盛り付け、など
考え方によっては手間そのものです。

手間はかかるけど、そう悪いものでもない。
料理は楽しいし、つかれていたら、

梅干しを少し口にすれば、何かと元気が出る。

梅干しなどの天日でできたもの、
って何か説明できないものがある、って思います。

だから、結局ドライフードなどを簡単に作れるものが
欲しくならない、

天日を使いたい、活用したい、って考えています。


梅酢につけて干すの繰り返しで、
梅干しは赤く、皮は柔らかくなる。梅酢も少なくなって、濃い。



3晩の夜干しのあと、日中に梅を梅酢につける。
日光でお湯に近い温度になった梅酢で
梅干しが柔らかくなるようです。
赤紫蘇は足りないと思っていましたが、
結局、いい赤色に染まりました。
梅干し、やっぱりいいものです。


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