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音読 『感受体のおどり』 第22番

 第22番を音読します。

かたづけていた楽譜のうらに乙白おとしろが描いた殻綾からーやの似顔絵があって, (以下は略)

単行本『感受体のおどり』030ページより

第22番: 仕事先(乙白おとしろ殻綾からーや・私)

 主人公の「私」の、今まで出てきた場面とはまた違う地点(時点)での「うめき」。
登場人物として、初登場の乙白と殻綾の名前を小タイトルに書きましたが、ここに直接的に登場して何かをしているわけではありません。

 この場面では、めずらしくはっきりと、季節が「六月」と書かれています。
人気のない都会の路地裏の、なまあたたかい風に包まれた闇の中を「私」はひとり歩いていきます。
 ここにいる「私」は、物書きでも踊り手でもない、うめいて歩く・・生身の人間です。

 「うめく」とは、漢字で書くと「呻く」。「呻吟(しんぎん)する」というのも同じ意味。ついでに「吟」の字も漢和辞典で調べてみたら、こちらにも「口を閉じてうめく、なげく」という意味があるそうです。んぐぐぐ。

 音読していて、切れ目を間違えると、途中で謎になってしまいます。

よろい戸のおりた店と車庫とにはさまれた昼は気もつかないすきま

本文より

 「店と車庫とにはさまれた、昼は気もつかないすきま」と、黙読で読み飛ばせば意味はつかめると思うのですが、声に出して読んだら「店と車庫とにはさまれた昼は ・・はあ?」となってしまいました。

難し目の漢字は
 凛凛しく(りりしく)  甘藍(かんらん。キャベツのこと)  
 奢る(おごる)  麗しさ(うるわしさ)



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