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音読 『感受体のおどり』 第43番
第43番を音読します。
走井の組に異国のおとぎばなしをたくみに話す小児がいた. (以下は略)
第43番: 物書き(走井)
「私」の物書き仲間・走井が、物書きとなるきっかけのひとつらしいエピソード。おそらく小学生のころ。
心躍る物語を、その場の思いつきで語ることができる級友に話しかけたことで、どんな物語よりも輝く「ふしぎ」に出会う。
ふいに走井は理解した.
このフレーズが二度出てきます。
たくさんの既存の本(物語)に触れる重要性を理解し、その「財産」を増やすことで、自分でも「まだどこにも無い物語(本文より)」を生み出すことができると気づいてゆく、走井の小さな頭の中の動き、ときめきが辿(たど)れるような場面です。
その過程は、主人公の「私」が第7番で語る、「物語」との出会いや創作への意志とは異なる方向からの出発なのだとわかります。
「危難(きなん)にみ(満)ちた」という言い回しが出てきます。自分で音読した時、きなんにみちた と、真ん中へんを高く読んだのですが、「危難」と単独で考えると きなん の方が良さそうです。
結局、きなんにみちた と読むことにしました。
ほかに漢字は、
遍歴(へんれき) 豪奢(ごうしゃ) 錯綜(さくそう)
華麗(かれい) 発端(ほったん) 純潔(じゅんけつ)
など。