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音読 『感受体のおどり』 第24番

 第24番を音読します。

 夕やみの道を走った.一人になれたうれしさにしばしばそこを走った.

単行本『感受体のおどり』032ページより

第24番: 仕事先(私)

 第22、23番の時代よりは後かと思われる、職場の帰り道。

 このnoteに1番ずつ『感受体のおどり』について綴るにあたり、冒頭の文を少し引用することが多いです。
 この第24番についても同様ですが、殊にこの冒頭の、主人公の帰り道のシーンは、自分もこんな気持ちでこんなことをしていたと、恥ずかしくなりつつ共感してしまいます。

 主人公は、物書きとしては少しずつ自分の文体を深めてゆくことができているし、食べてゆくための職場でも、問題なく業務をこなせてはいるようですが、

 しばしば小児じみて走って帰った.跳びあがってみることもあった.

本文より

こんなふうにして振り捨てたいものを、人間関係では日々降り積もらせてしまっている様子です。


 職場で与えられているという医学辞典の中から、「私」が目を引いたらしい症状名が 
  鹿化妄想  全内蔵錯位症  選択的無言症
と書かれていて、後のふたつはなんとなくわかりそうだけれど、
  鹿化妄想
は、すごく奇妙な名前で、どんな症状かもわからず、読めません。(ろくか と読んでみましたが、ししか? しかか?)

 ネットで調べると、「獣化妄想」「狼化妄想」は出てきました。自分がその動物である、と思い込んで、そのように行動してしまう症状のことだそうです。狐憑きも、その一種と捉えられるようです。
 自分を鹿だと思ったら、何をするのか・・。などと、主人公と一緒に夢想にひたってしまいそうです。

 「鹿」という漢字を漢和辞典でしらべようとしたら、部首としては「广(まだれ)」ではなくて「鹿」そのものでした。「鹿」も部首として独立しているとは知りませんでした。すぐに忘れてしまいそうです。

 ほかには、
  破綻(はたん)  戯画(ぎが) など。



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