骨折:なんだ坂こんな坂

2023の夏、朝一
自宅階段を踏み外して落下
これは骨にいったと確信。

念の為、汗だくで入院準備して、四つん這い・お尻階段降りなどでやっと玄関に辿り着いた。杖2本を左右の手で持ち、健足で片足立ちした。

・玄関
よしっ!と気合いを入れて両手の杖に体重を分散して乗せ、健足を一歩前に出した。

しかし、出したつもりだったのだが半歩も進んでないじゃないか!

脳内イメージでは、両側の杖2点で体重を支えて健足を軽く浮かせて一歩ずつ前に進められると思ったのに、私の体重はそれを許さなかった。

超肥満体ではない、2〜3kg増減でBMI普通体重と肥満を行ったり来たりする状態。それでも20歳の頃と比べると10Kg近く増えてるので重い。

松葉杖とは違う短い杖、腰の高さの細っこい杖ではそんな簡単に体重を支えられないことがわかった。

では、杖に頼らず健足で片足ケンケンで進むか?
試してみた。

ズシッ
うーん体が重い。片足でジャンプ出来ない事もないが体が拒否している。体重の重さのせいだけではない。

片足ケンケンはやめとけ〜

と、脳が指令を出してるような気がする。骨折(素人判断)したショックのせいか転倒が怖くて自由に動けない。
仕方ないので杖2本に頼ってズルズルと片足で進むしかない。
諦めが肝心だ。
杖を持つ手が痛いったらありゃしない。

平らな土間を進むだけでも難儀なのに、玄関引き戸の敷居を見ただけで溜息。たかだか10cm程度の敷居幅が1mの幅跳びのように遠く感じる。少しでも健足が引っかかったら転倒?これまた体が固くなってしまう。

「午前中の涼しい時間に宿題をしなさい」
などと言われた子供の頃と違って朝起きた時から、いや違う熱帯夜が毎日続く現代では1日中暑い。
エアコンが付いてない玄関先で早くもまた汗が噴き出してきた。

私はここで立ち止まるわけにはいかない!
病院に行くという使命があるのだ!
(何のゲームの勇者なんだか)

勇気を振り絞って私はその川を渡った。川じゃないです、敷居です。

・段差と坂
やっと玄関を出てひと安心と思いきや、自宅での最難関が待ち構えていた。
玄関前のコンクリートの段差とそこから庭までの短い坂。
普段なら、段差からニ〜三歩で庭に降りられる坂とも思われない場所だ。青々とした芝生で覆われている。
これを芝生坂と呼ぼう。

この段差と芝生坂を片足で歩けと!?

玄関コンクリートから芝生坂までの段差は10cm。片足でジャンプ降り出来る自信は100%無い。断言する。シニア運動神経オトロエターを舐めるなよ。

開き直っても私に勝ち目は無い…

ところが、ふと冷静になってそばを見ると有るではないか!
手摺り!!

健足の片足と細い杖2本で歩こうと視野が狭くなっていた私の目に入った救世主。
これも親が転倒しないよう介護保険で設置してある。

これをどう使うか?
患足側の右手で安定した手摺りを持ち、健足側の左手で杖を持って進もうか。先に杖を段差の下に降ろして体重をかけてみた。

うーん、手が痛くて支えきれない。手摺り側は持つ所の直径が手の平にフィットして痛みは無い。持ちやすい。

流石に手摺りだ!

と、感動しているうちに気づいた。
私は段差と芝生坂に正面から戦いを挑もうとしているからダメなのではないか?
正面勝負に拘るプライドは捨てよ!
時には脇道から攻めるのもいいじゃないか!
・・・だから戦いゲームじゃないって。

身体の向きを右側の手摺り側に変えて両手で手摺りを掴んだらどうだろう。

2本の短い杖を弟に渡し、両手を手摺りに置き上半身の体重をかけてみる。
おおー!とても安定する。
手の平も痛くない。
しっかり手摺りを握った状態なら片足ジャンプで、段差と芝生坂を攻略出来るのでは?

私は手摺りになるべく身体を密着させて両手に体重をかけた。それは小学校の体育の授業、鉄棒に飛びつき前回りする前の体勢の様だ。真上から手摺りにおろした手に垂直に力が加わっている。ちなみに私は逆上がりは苦手だった。

雑念を払えっ!

あとは、勇気を出して健足を一段下に降ろすのだ。息をひゅっと吐いて私は横に飛んだ。その距離15cm弱!時間にして0.05秒くらいの小さな飛翔と着地。
※飛翔時間はあくまで自己イメージです

飛んだ!私は飛んだぞ!
自分の足で飛んだのだ!

と、いちいち感激してたら病院に行き着かないのでサクサクと芝生坂を降りましょう。

さすが手摺り、介護用品、不自由な身体になんて優しい設計なんでしょう。最大難関と思っていた段差と芝生坂は簡単にクリア出来た。拍手!

さて次は乗車だ!

まだまだ続く)
病院の診察室に行くまでの果てしない道が〜
片足を地面につかないで歩く大変さを知る

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