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身体が近くにいることで生じる「ついで」の効果〜東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術 』・小川 さやか『チョンキンマンションのボスは知っている アングラ経済の人類学』

 ここ最近、私はあまり元気がなかったのだけど、ちょっと散歩した先でなにかイベントをやっているのを見かけて、近づいてみたら、そこで古い知人とばったり出会って、「あらータニさんじゃないですか、奇遇ですねー」みたいなところから3分くらい立ち話があった。その時間を経て、なんだか自分の中の元気の無さが薄れていたのが印象的だった。

 多分、ここ最近の自分の元気の少なさは、FOMOの一種みたいなものじゃないかと薄々思っていて。しかし冷静に考えれば、その感覚でさえ幻みたいな、まあ要するに想像なのだろう。逆に「自分は取り残されていないぞ」と思ったとして、それでさえ幻だ。

 じゃあ今回の出来事はなんだったか、というと、多分「他人の身体が近くにいた」ということじゃないか。当たり前だけど、他人の身体が近くにあると、FOMO感が薄れる。他人の身体が近くにないと、自分は取り残されているとかいないとか、どっちにしろ想像の余地が生じてしまう。

 そんなイベントを経て、以前Facebookでお友達がおすすめしていた東畑開人『聞く技術 聞いてもらう技術 』を読んだのを思い出した。

 本書は心理士の著者が「人と話をする技術」の解説をするというもの。現代の私達の社会は、人の話を「聞く」ということが上手にできていない、と指摘する。

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