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「売掛」としての日本型ボランティア活動を考える〜あるいはハラスメント型社会秩序からの解脱手段について

市民参加のまちづくりは、市民のボランタリーな働きに支えられていることはよく知られている。ここでいうボランティアというのは、金銭的な見返りの約束がないアンペイドワークというような意味だ。翻って、金銭的な見返りが約束されている活動とは、ペイドワーク、つまり謝礼をもらう仕事や、委託業務、あるいは雇用などが考えられる。しかし、多くの地域組織ではこれらのペイドワーク関係を結ばないまま活動が運営されている。然るべき対価を支払う約束をせず、アンペイドワークに依存する文化は、まちづくりが人手不足や担い手不足に悩む原因の大きな一つとなっている。

さて、まちづくり活動には「地縁」と「志縁」の二種類があるとよく言われる。前者は同じ地域に住んでいることを契機として生じる縁で、後者は同じ志、テーマを持つことを契機として生じる縁である。どちらかといえば前者がオーセンティックで大きな力を持つ一方、後者はゲリラ的で弱い立場に置かれがちだ。長年言われてきたことではあるが、この二つの交ざりあいが重要だとされている。しかし、この二つが混じり合うのは簡単ではなく、長年課題とされてきた。というのも組織原理が大きく違うからだ。ではどう違うのか。

この点について、ボランティア活動について鋭い指摘をされることで有名な、東京大学大学院の仁平典弘さんが面白い論文を書いているのを見かけた。タイトルも「冷笑する社会とボランティア――「やりがい搾取」批判を越えて」と刺激的だ。

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