ももちゃん、すももを食べるの巻
ある日、桃太郎のももちゃんのもとに、宝石のようなすももがやってきました。
このすももは、たごさんが丹精込めて育てたすももです。
桃太郎のももちゃんは、果物のなかでいちばん桃が好きです。
すももも、いちばん好きです。
すもももももももものうちです。
ももちゃんは、本名も桃子なので、幼いころから、ももを食べていると、
「ももちゃんがもも食べてる!」だとか、
「ももの共食いだ」とよくからかわれました。
でも、ももちゃんは、ももが大好きなので、そんなふうにからかわれても、悪い気はしませんでした。
むしろ、こんなにおいしいものと同じ名前をもつことに、ちょっとした誇らしさを感じていたのです。
さて、もともと桃が好きなももちゃんですが、すもものおいしさを知ったのはイタリアに留学しているときのことです。
イタリアのスーパーでは、基本的に野菜や果物は量り売り。買い物に行くたびに、山積みになったすももから、いくつかおいしそうなものを選んで袋に詰めて買っていました。イタリアのすももは、甘くてジューシー。
でも、日本に帰国してから、あの味にはもう出会えないかなと諦めていたのですが、そんなももちゃんのところにステキな情報が舞い込んできます。
なんと、甘くておいしいすももを育てている方が日本にもいらっしゃると!
これは買うしかない!と意気込んでいたももちゃんですが、購入する前に、ちょっぴり躊躇します。
いまのももちゃんには、ちょっと贅沢かな、と。
でも、この記事を読んで、買うことに決めました。
ももちゃんの一方のおじいちゃん・おばあちゃんは兼業農家でした。もう一方のおじいちゃん・おばあちゃんは、漁師さんでした。
小さなときから、食べ物を育ててくれる人、獲ってくれる人の苦労をいつも聞かされて育ちました。
食べ物を育ててくれる人、獲ってくれる人たちは、とても尊い職業だと、ももちゃんは思うのです。
だから、応援したいと思いました。
7月は、ももちゃんの修士論文提出締切でもありました。
にんじんをぶら下げて馬さんを走らせるといいます。
ももちゃんは、にんじんがあまり好きではないので、にんじんの代わりに、すももが届くのを心待ちにして修士論文の執筆に取り組むことにしました。
がんばる自分へのご褒美です。
ももちゃんが、無事に修士論文を提出し終わった頃、すもも「貴陽」が届きました。
そして、7月はももちゃんの夫ぺこりんの誕生月でもあります。
ももちゃんは、すもも「貴陽」をふんだんに使って、ぺこりんのお誕生日をお祝いすることにしました。
これが、そのメニューです。
この日は、ぺこりんは、お仕事の日でした。
夜の8時半過ぎに帰ってきたぺこりんは、メニュー表を見てびっくりしています。ももちゃんが、こんな風に気合を入れてメニュー表を用意するのは初めてのことです。
メニュー表に書いていた営業時間を見て、「まだラストオーダー間に合いますか?」と心配するぺこりん。
すぐに、ももちゃんの遊びにつきあってくれるのが、ぺこりんのいいところです。
ももちゃんのいちおしメニューです。
貴陽と生ハムの組み合わせが、すばらしくおいしいです。
スペイン料理で、メロンと生ハムを一緒に食べるおつまみがありますが、メロンよりおいしいかもしれません。
貴陽の甘さとほどよい酸味、そしてジューシーな果肉が、生ハムの塩気ととても合います。ワインのおつまみに最高です。
たごさんから届いたすもも「貴陽」のおかげで、ぺこりんの誕生日のお祝いは大成功でした。
ぺこりんもとても喜んでくれました。
貴陽は甘くて、ジューシーで、イタリアで食べていたすももよりもおいしかったです。
ももちゃんから、「すももちゃん」に改名したくなるくらいのおいしさでした。
たごさん、ごちそうさまでした!