美しく残酷なサロメの物語/オーブリー・ビアズリーの「サロメ」
こんばんは。ノンマリ編集部です。心のキーアイテムを探すアートの旅。今夜のセレクトはこちらの作品です。
オーブリー・ビアズリーの「サロメ」
強くて妖艶な魅力を感じるこの女性の名は、サロメ。その名も「サロメ」という戯曲に登場する王女です。今日はほんの少し、その「サロメ」の物語をのぞいてみましょう。
ある日、王である義理の父に言い寄られ、パーティから逃げ出したサロメ。ふと地下の井戸に「不吉な預言ばかりをする」として閉じ込められていた預言者の声を聞き、好奇心から彼の姿を見たくなります。兵士を誘惑して預言者を連れ出してもらい、一目でその預言者に恋に落ちてしまったサロメ。ところが、預言者はまったくサロメに魅力を感じないどころか、彼女を侮辱する言葉をかけるばかりです。自分の恋心が報われないサロメは「必ず、この彼にキスをしてやる」と誓います。
パーティに戻ったサロメは、王に「欲しいものをくれるなら、王のためにダンスを踊ってあげる」と約束します。ベールを剥ぎ取りながら、妖艶に踊り上げるサロメ。すっかり満足した王にサロメが要求したものは、預言者の首でした。
預言者の首が、銀の皿に載って運ばれてきます。サロメは、それにキスをしました。
勝ち誇ったサロメを待っていたのは、預言者と同じ死でした。王はサロメに恐怖を覚え、その場で「サロメを殺せ!」と命じ、物語は終わります。
残酷で狂気に満ちたサロメの恋を表現したのは、イギリスのイラストレーター、オーブリー・ビアズリー。黒と白の世界で、その妖艶さや鋭さを、品性を失うことなく描いています。死の世界で、サロメと預言者はどんな会話を交わすのでしょう。恋い焦がれた先端の、脆く尖った美しさを秘めたビアズリーの絵を観ながら、サロメという女性に、思いを馳せます。
サロメ(黒いケープ/クライマックス)
オーブリー・ビアズリー
製作年:1894年作
1894年 オスカー・ワイルド著『サロメ』挿絵
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