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ノンマリ連載エッセイ「小さなドラマの小さな駒たち」 #4 切手美術館

”おひとり時間をご機嫌に過ごすコツ”を綴った全12話の短編エッセイ集 / 作:田崎ゆきこさん


第4話
『切手美術館』

 私は施設美術館館長としての顔を持つ。その所蔵品は、国内外を問わず、古典派、印象派、フォービズム、ポップアートにアニメ、風景、自然の造形。ジャンルの幅広さは他の追随を許さない。
 そして、その絵画は極めて小さい。2センチ前後の長方形の、郵便物を運ぶという主要目的のある、切手と呼ばれる愛らしい紙片。  
 私は切手を、小学生のころから、収集している。合計5冊ある切手ファイルに保存して、今も、時折、郵便局を訪れては、新作を買っている。熱烈なコレクターではないが、凝縮された美の塊が手元に増えると、頬を緩ませてくれる。この切手を買ったのは、確か、高校生のころ。ちょうど友人関係に悩んでいたな、と当時のノスタルジーへの後押しをしてくれる。
 たまには時代を振り返り、自分に優しいまなざしをむけるのは楽しい。

文:田崎ゆきこ

nonmari(ノンマリ)https://nonmari.jp/
おひとりさまのおひとり時間に寄り添うWEBマガジン「nonmari(ノンマリ)」。ひとりで過ごす夜をテーマに、短編小説やエッセイなど更新しています。 お仕事を終えてほっと一息ついた時、寝る直前のベッドの中で。おひとり時間を過ごすあなたが、心おだやかな夜をすごせますように。


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