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拝啓、トマーゾ

ねえトマーゾ
いつか僕も君みたいに

泣きながら笑う日々に
もうじき終わりは来るのかい

何もしてあげられなくて
ただ頷く事しか出来ずにいて

今もこの耳に映る
塞ぎ込んだ音模様
いつか綺麗な音に変わる様

ねえトマーゾ
いつか僕も君みたいに

色を無くして繰り返すだけの毎日に
この先終わりは来るのかい


ぼやけた夏空の水色と
電線が車窓越しに流れてく

季節はすぐに景色を変えて
何もかもが全て無くなる癖して

鮮やかな入道雲は
遠くの方で素知らぬ顔で

ねえトマーゾ
例えばこんな拙い言葉で
誰かを救える日は来るのかい

誰も聞いちゃいない
薄暗い6畳1間のこの部屋で

何者にもなれない毎日で
その癖すぐに誰かと見比べて
目の前が滲んでしまうんだよ


ねえトマーゾ
それでもいつかの君みたいに

僕も言葉を残していくよ
例えつまらない言葉でも

声にならない慟哭は
きっとみんな同じな筈で

迫る朝に怯える日々で
眠れぬ夜に背を向けて

ねえトマーゾ
それは決して無駄なんかじゃなかったと

そんな日々でもこの世界の
遠い誰かの明日になるなら

君が僕を救ってくれたから
あの日の君のようになれるなら
そうして季節は変わるから

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