「ファイアーエムブレム風花雪月」に、まさか「ガンパレードマーチ」イズムを見出すとは思いもしなかった。
一期崎火雀です。
先日購入した「ファイアーエムブレム風花雪月」をちまちまとプレイしています。世間評判では傑作と噂のタイトルですが、まぁ〜〜〜よく考えるわこれ、と感心しながら遊んでます。
本作の戦闘は従来のFEシリーズ同様、グリッド式マップでユニットを動かしながら進軍していく、オーソドックスなSRPGのスタイルを取っています。しかし本作ではこれまでになかった要素が追加されており、主人公は士官学校に雇われた教師として、毎月生徒達を指導しながら月末の課題戦闘に臨みます。それだけではなく、教師として1年間が経ったあと5年後の第二部に突入し、自分が受け持ったクラスの生徒と他クラスの生徒が戦争で殺し合うという、衝撃的な展開が待っています。
このゲームの何が凄いかというと、ファイアーエムブレムとしては異色作ながら、シミュレーションとしての集大成を成しているところです。従来のSRPGに加え、パワプロサクセスのような育成シミュレーション、ギャルゲーのような恋愛シミュレーション、自身の選択で大局が変わる歴史シミュレーションが融合しています。一見無茶な作りですが、把握できないほど膨大なテキスト群によって、ゲームデザインと世界観を納得のいく形で両立させています(しかもフルボイス!)。
で、この構成、昔ハマった名作シミュレーション「高機動幻想ガンパレード・マーチ」をどことなく彷彿とさせるんですよね。
ガンパレード・マーチは、初代PlayStationで発売されたタイトルです。幻獣の出現で人類が滅亡の危機に瀕した1999年の熊本を舞台に、少年少女たちが人型戦車「士魂号」に乗り込み、戦場に駆り出されていく物語が展開されます。
(PSストアより)
ガンパレは風花雪月とゲーム進行が近く、日常パートで能力を成長させたり人間関係を築きながら、その途中で挟まれる戦闘パートをこなしていきます。FEと同様に、戦闘で敗北したキャラは“死”という形でキャラロストが待ち受けており、命の重さに関しても似た趣があります。また、世界観を構成する大量のバックグラウンドテキストが用意されているのも同様です。
一方で、ガンパレでは自分の関与しないキャラクターがAIで判断し、勝手に人間関係を築き、キャラ同士が恋人になったり険悪な関係になったりします。このAIが生み出す偶然の状況によって"箱庭ライフシミュレーター"を成立させたガンパレは、現在も名作として語り継がれています。
それに対し、風花雪月は全く別のアプローチで箱庭ゲーを成立しています。例えば、自クラスか他クラスからのスカウトしたかの違いによって異なったセリフが用意されており、支援会話でも一部か二部かでセリフが変わるなど、とにかくありとあらゆる状況を想定してテキストが組まれています(もう一度言っておきますが、フルボイスです)。
ガンパレがAIで箱庭を作ったのに対し、風花雪月はとにかくアナログな物量で箱庭を作っているのです。ただでさえ3クラスごとに異なる展開が用意されているのに(しかも赤は2ルート)、ここまで作り込むとは正気の沙汰じゃない。
よくよく考えれば、今回開発に参加したコーエーは歴史シミュレーションジャンルのプロであり、FE無双を経てインテリジェントシステムズと組んだことが、想定以上に良い結果を生み出したのかもしれません。
なんとなく前評判の良さで急遽購入することになった風花雪月でしたが、まさか十数年越しにガンパレで感じたあの楽しさを思い出すとは夢にも思いませんでした。のんびりやっているのでまだ一周目二部の途中ですが、想像以上に血塗られた展開が続きビビっています。これから佳境となっていくので、今から楽しみです。
それでは。
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