研究討議はCECIモデルで
研究討議の在り方について
学校には教育の質を高めるために1人の先生の授業を校内の先生たちで見学する研究授業という文化があります。授業後に研究討議を開いて見学者同士で授業の是非を話し合います。
授業の進行の仕方や内容について細かいところまで見学者に指摘されて授業者がボコボコに叩かれる研究討議を過去にたくさん見たことがあります。(これは本当に可哀想になる)
もしくは、反対に「私は専門教科じゃないのでよく分かりませんが良かったんじゃないでしょうか〜」みたいな上っ面だけのコメントを話し合う討議にも出くわしました。こちらは特に中学が多いように思います。
上記のような場面に出くわすと、研究討議は何のための誰のための討議なのか?と感じます。
1つの授業の是非を話し合い指摘するだけであれば、結局、研究授業をした先生だけの学びにしかなりません。
見学者である先生たちには行動変容が起きません。だって、指摘しているだけですから。
せっかくなら、見学者にとっても学びになるような時間の使い方を研究討議ではしてほしいと考えています。
CECIモデルを用いた研究討議
では、どういった流れで研究討議を進めれば良いかというと、一橋大学大学院教授であり、経営学者の野中郁次郎さんが提唱しているCECIモデルを参考にすれば良いと考えています。
詳細は下記をご覧ください。
もともとは、国内の製造業が製品開発するまでのプロセスを研究したものですが、知識やスキルを伝播し行動変容に繋げることを焦点化するのに適したモデルです。先生にとっての行動変容とはつまり授業が変わることなので、新しい授業を生み出せる流れということです。
CECIモデルには4つのプロセスがあります。
共同化プロセス
共同化プロセスとは言葉ではなく何かしらの体験や経験によって、暗黙知を他人に移転させることです。
学校に置き換えると、研究授業がこれにあたります。授業をみんなで見学してどのようなノウハウを授業者が持っているのか体験ベースで学びます。表出化プロセス
表出化プロセスとは暗黙知を形式知へと変化させることです。
個人の持つ勘やノウハウなどの暗黙知を、言葉や図解などに表して他人と共有します。
研究討議がこれにあたります。ただし、授業者に指摘するために行うのではなく、自分達のレベルアップのために授業の是非を話し合います。連結化プロセス
結合化プロセスでは、先ほどのプロセスで表出された知識を他の知識と組み合わせることで、新たな知を創出します。
置き換えると、研究授業から得た学びをもとに自分の授業で新たにチャレンジしたいことを考えることです。ここまでは研究討議内で出来たらいいですね。
ただ、ここまでで終わってしまうと、自身の成長には繋がりません。そこで最後のプロセスです。内面化プロセス
内面化プロセスは、結合化プロセスによって新たに創出された形式知を、各個人で習得するために反復練習等を行うことで自分のものとし、形式知から個人の暗黙知へとまた変化する段階です。
研究討議で学んだことや思い付いたことを、明日の授業から実践し、反復することで個々人のノウハウになります。
結局、実践あるのみ
研究授業は大変素晴らしい文化だと思います。個人が持つノウハウをみんなで研究し、個々人のレベルアップにつなげていけたら最高ですね。共同化〜内面化に行くまでのプロセスを何度も何度も繰り返すことでより良い組織になっていくのではないでしょうか?
最後になりますが、1〜3までは同日にできます。しかし、4の内面化プロセスに関しては個々人が行動を起こす必要があります。
結局、実践あるのみですね。
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