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古本に付加価値をつけてセレクト販売するという手段

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ここ最近、書店の開業に向けて細々と動いている中で目に飛び込んでくるニュースは逆境を感じる話題ばかりだ。もちろん、厳しい業界だという事は百も承知で志しているわけだからある程度の事前免疫は持っている。

ここまでに僕が仕入れた情報を少しだけまとめてみる。

  • 新刊書店の場合は販売価格が定まっているため利益率が険しい(20%程)

  • 書店経営は販売委託制度(返品制度)に助けられている部分が否めない

  • 薄利多売のビジネス構造が今の時代に通用しなくなっている

  • ドル箱と称されてきた子供向け商材の売れ行きが怪しい

  • 取次店との取引口座開設と仕入れまでのフローが予想以上に大変

もちろんこれ以外にも細かな部分を言い出したらキリがないのだけれど、よっぽど資金が潤沢で、物件や固定費にも躊躇なく投資できる状態であれば工夫次第で多少の勝機はあるかもしれない。しかしながら僕のようなミニマム経営者の新規事業として位置付けるのであれば、この時点で経営として軌道に乗せるにはハードルが極めて高い。

とはいえ、僕がアクションできる範囲内は小さく事業を始める方法しかない。若者が知恵を振り絞って新たな一手を打たなければ、書店の減少に歯止めが効かないし、業界が衰退していく一方だ。それはあまりにも寂しすぎる。「ビジネス」という観点から考えても、儲からない構造が際立ちすぎて、「本を生業にしたい」という僕のような新参者も限定されるだろう。

何を売りたいのかを明確にしてみた

よく考えてみると、「自分は”本”を売りたいのだろうか」という論点に行き着いた。ここで出た答えはこうだ。「本を通して”読書という習慣を定着”させ、”人生が転換するキッカケ”を提供したい

つまるところ、書店に対して面と向かって競合すべきではないという結論である。本を販売する事は手段であり、目的ではない。僕が提供したい目的は、「読書習慣の提供」「人生好転のキッカケ作り」である。であれば、新刊に拘る必要もなければ必ずしもリアル書店じゃないといけないという理由もない。

冒頭でお伝えした通り、現段階では、できるだけ小さく始める事、少しでも利益が出る構造を作る事が絶対条件だから、安易に本が好きだから本屋を開業しようという思考から少しだけ軸を動かす必要がありそうだ。

”本市場”での小規模で高利益の構造を考える

ここまでの経緯を踏まえて、どのようなアクションが必要なのかを構想している。定番といえば定番だけど、少しだけ独自性を加えてみた。

  • 新刊ではなく中古本をメインとする(仕入れ値と売価のコントロール)

  • リアル店舗ではなくまずはECサイトを構築する(全国販売が可能)

  • SNSを活用しながら効果的に宣伝を実施する

  • 中古本へプライオリティ価格を設定する

  • 保有在庫の出口戦略を設計する(施設等への本棚提供 ※サブスク)

  • 企業内の研修等で課題図書の選書サービスを提供する

太字になっている箇所で他者との差別化を計画している段階。おそらく既存サービスとして既にあると思うけれど、あまり聞いたり見たりする事がないからまだまだ参入余地があるかもなと考えたりしている。

中古本へプライオリティ価格を設定する

一つ一つの差別化ポイントを説明したいところだけれど、とんでもない文字数になってしまうので、今回は「中古本へプライオリティ価格を設定する」という発想をシェアしてみたいと思う。

「新刊は売価が決まっている」これに関しては分かった。確かにそうだ。”著者10%、出版社60%、取次業者10%、書店20%”という取り分を考えた時に、昔から変わらない業界のルールだということを新参者は理解する必要がある。書店側が出版社へ返品しない前提で仕入れることで、取り分に色を乗せれる方法もあるみたいだが、リスクもあるし利益金額で考えてもそこまで大きくは変わらない。

次は、中古本について考えてみたい。ただ単純に「読み古された本だから、定価1600円の本が500円で売られている」という常識があると思う。中古本屋さん側はおそらく100円〜200円で買い取って、差額を利益にしている。
ここで考えるべきポイントは、1600円の書籍を新刊販売した場合の利益は320円(利益率20%で仮定した場合)。同じ書籍を中古本として200円で仕入れて500円で販売した場合の利益金額は300円。利益額だけ見ると差がないことに衝撃を覚えたりするのだけれど、そこまでは一般的な話。

僕が考えるプライオリティの部分はもっと奥にある。仮に、その本の保有者だった人物が著名人や成功者と言われるような人だったとする。その場合、「誰が保有していたか」という部分と、「この本から学んだ記録」が付加価値として発生していると思う。

読書を通して人生を好転させるキッカケを掴んで欲しいという願いを前提として考えると、この本は既に「とある人物が目的を果たすために活用した貴重な財産」という発想もできる。新刊には絶対にないような、ドックイヤー(本内の重要なページへの折り目)や、線引き、メモ書き、付箋等も付加価値として転換することができる

であれば、中古だから500円で販売。はあまりにもお粗末なようにも思えてくる。正値かどうかは別として、新刊時の定価1600円よりも高くてもおかしくはない。経営者や著名人ような偉人たちが実際に愛読する中で発生したメモ書き、付箋ベタベタの本なんかを想像した時に、高額でも僕は手に入れて読んでみたいなと思う。その人がどの部分に疑問を持って、どの部分に重要性を感じたのかという事を疑似体験できるのだから希少性しかない

そう考えると、新刊時の2倍、3倍の価格だったとしても違和感はない。仮に2倍価格の3200円で販売したとして、仕入れ価格を良心的にも200円で仕入れる事ができたとしたら利益は3000円。新刊10冊販売分に相当する。

というような、新参者の絵空事、机上の空論で話を進めてきたけれど、小さな事業者の戦い方としては工夫次第で実現できそうな範囲でもありそうだ。他の業界では常識の話で、あの人が来ていた服、あの人が使っていた楽器、あの人が保有していた絵画なんかにプレミアム価格がついたりするわけで、本にも同等の価値が頻繁につく事は不思議な事ではないと思う。

この業界の先輩達が見てくださっていると思うと「この大馬鹿者」と、非難の嵐が想像できる・・・。だけれど、新参者で業界の常識を知らない愚かな人間だからこそ、意外と新しい一手を打ち出すアイデアを持っているかもしれないわけで。そんな事を考えながら今日も精一杯、自分の頭をフル回転させている。

そして、この記事がきっかけで予想外な繋がりや出会いに発展するかも知れないことを心の片隅で期待したりしているのはここだけの話。


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のなさん
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