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書店員さんに聞いてみたいこと

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ここ最近、書店の開業を構想しながら日々悶々としているのだけれど様々な疑問を抱き始めている。そもそも僕自身、書店員としての経験は無い。ただ、アパレル業界での販売歴が13年程あり、全国の販売員が接客技術を競い合う大規模の某ロールプレイング大会にて全国最優秀賞の受賞歴がある事だけは前置きとさせて頂きたい。ご来店されたお客様への接客販売の分野においては独自性、差別化を図れる僕の唯一の武器である。

業界が違えば常識も違うのかな?

書店に立ち寄った際に書店員さんから自発的な接客を受けた経験は皆無に等しい。そもそも、本を選ぶ時に店員さんから接客をされるなんて正直迷惑だと思うのは当然と言えば当然である。しかしそれは、自分で本を選ぶ事ができるからそう思うのであって、ここで感じているのは書店という場所は多くの読書初心者にとってはどこか独特で人的な活気がなさすぎて不安を感じる場所になっているのではないかという事。

入店した際もこれといって気持ち良い空間とは言えないことが多い。例えば入店時の挨拶はない、店員さんがどこにいるのかわからない、なんだか話しかけづらい雰囲気などなど。接客の力で売上を伸ばしてきた経験がある僕からすると購買意欲が湧くまでになんだか物足りなさを感じてしまう。

ここで、書店業界の特性だと言ってしまえばそれまでなのだけれど、書店でも気持ちの良い接客があれば、1冊購入の予定が2冊、3冊と併売に繋がるのではないだろうかと思ったりもする。いわゆる関連本の紹介や書店員のおすすめ本の紹介といったところだ。

僕の経歴上、アパレル業界との比較になってしまう事を先に謝っておきたいと思う。アパレルでの実態を例に例えると、大手の某企業(世界的にシンプルウェアを取り揃える有名な赤い看板のお店)や、(トレンドに特化した青い看板のお店)はとにかく別格である。接客をしなくても回遊や併売がしやすいように緻密に導線も計算されているからセルフ購入の仕組みが完璧すぎるのである。書店市場においてここと比較するとすれば、大規模な売り場面積を誇る大手チェーンなのではないだろうか。

では、中規模から小規模の小売店舗の実態はどうだろうか。アパレル店舗においては、まず入店時の印象で購入の是非が全て決まる。雰囲気が悪ければフラッと眺めて即退店。運よくお客様が商品に興味を持ってくださったら、ご来店の挨拶、来店動機のヒアリング、ニーズの引き出しから商品提案、活用方法から+αのコーディネート提案と進んでいく。

そのうち、商品お買い上げに繋がるのは上手くいって1点から2点程。最悪の場合、未購入のままお見送りすることもある。もしここで販売員が優秀であればご提案した商品全てをお買い上げ頂ける場合もある。

つまり何が言いたいかというと、アパレル業は接客をしなければ、ほぼ売れないという事実である。これは、売上を作るという観点から述べているので少し表現がきつい事にはご了承いただきたい。

書店に積極的な接客サービスを取り入れたらどうなるのか

貴重な時間を費やし、わざわざ足を運んでご来店いただいているお客様に対して、手ぶらで帰さない努力が必要なのではないか。そして、業界が違うから書店は接客不要という思い込みが、近年の書店の減少、売上の減少に繋がっている可能性もあるのではないか。という感覚を持っているのだけれど、実際に書店員の経験が無い僕の意見はだいぶ浅はかかもしれない。

もちろんそれ以上に書店業界の不信に関しては社会の変化や外的要因が多いに事が足枷になっているとは思うのだけれど、人の熱量みたいな要素が欠落しているようにも思えて仕方ない。現に、車で移動できる圏内の書店を簡易的にリサーチしてみたけれど、どのお店も基本的には「どうぞご自由に」の運営スタイルであるから仮説は間違ってはいないだろう。それであれば、品揃えが豊富で決済機能も豊富な大手チェーンの書店に行く。

選ばれるお店になる難しさ

冒頭でも述べたように、たしかに接客をされる煩わしさというか嫌悪感は否めない。自分一人でゆっくりと本を選びたいと思うお客様も多いのは事実。しかし、そういうお客様は自分で本を選ぶ事ができる読書のプロなのである。アパレルで例えると、ファッションが好きで自分でコーディネートできるお客様と同じ。むしろこのようなお客様には過度な接客は不要だ。

そうではなく、潜在的な購買意欲を持ったお客様への接し方に工夫をするだけで思いもよらぬ購入に繋がるのではないかと思ったりする。そもそも、「どのような本を買えばいいのか分からない」「関連した本があれば一緒に買いたい」だけど「選び方が分からない」そんなお悩みを解決してあげたり、本の選び方のご案内や書店員おすすめ本の紹介を接客を通して取り入れてみるとどうだろう。これまで、手ぶらで帰っていたお客様が顧客に変わる瞬間が少なからず訪れるのでは無いだろうか。

情緒的な要素に人は動かされる

大手のチェーン店とは戦えるはずがない。品揃えや空間演出、売り場面積、資本力など到底適うはずがない。しかし、唯一「人」の部分では差別化が可能だ。「あの店員さんに会いに行こう。今日はどんな本と出会えるだろう」そんな素敵な気持ちを与え続けてくれている書店員さん達も多く存在していると思うし、顧客様も多いのではないだろうか。

もちろん、書店に接客は不要だと思う人もいれば、書店で人の温かさを大切にしたいと思う人など意見は様々だと思う。僕は後者の意見に少なからず可能性を感じているし、僕の力が発揮できる領域といえばそこしかない。書店業界外での成功体験をもとに新しいシナジー効果を生み出せるのであれば、とてもワクワクする。

本は人生を変えてくれる貴重な存在だし、僕自身もたまたま手にした1冊に救われた経験がある。多くの人が、自分の人生の励みになる本と出会わないまま時間を過ごしていると思うととても寂しい。人生を変えるような「キッカケ」を提供してくれている本屋さんは絶対に無くなってほしくないし、市場再起して欲しいと願いながらこの記事を書いている。

書店員経験がないくせに偉そうな事を述べてきたけれど、小売業や接客業という共通点から見たときに、純粋に感じた疑問だ。僕自身も勉強を続けながら、少しでも業界に貢献できるよう邁進していきたい。

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のなさん
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