とうもろこしと夏。
お湯を沸かしながら、冷蔵庫の野菜室に入れてあるとうもろこしを出す。
4本あるなかの2本、コレとコレにしよう。
一本は黄色い身がはちきれんばかりに元気そうにみえ、もう一本はやや細身で身は少し白みが強い色をしていた。
その2本をキッチン台に置くやいなや二匹の猫が飛んできた。
今までどこにいたの?どっから出てきたの?
その二匹は、かわいい鼻をくんくんくんとさせながら、とうもろこしを囲んでいる。
"とうもろこし好きだね〜"
私は珈琲を飲みながらキッチンに立つのが好きだ。アイスコーヒーをいつもの手つきで入れ、猫をとうもころしからひょいひょいっと手で遠ざけながら、とうもろこしの皮をむく。黄色いからだの全貌を現すついでに、皮の中から弱りかけの虫さんもこんにちはしていた。
目の前のリビングには、肌着の"白いランニングシャツ'に"ベージュの半ズボン"を履いたむすこの姿が見える。
どことなく昭和な格好。
なんかどこかでみたことある格好…
あ、あれだ!裸の大将だ。
小学生の頃、テレビで放送されていた裸の大将が大好きだった。子供ながらに、素朴で素直な姿に心打たれたり、素晴らしい芸術は人の心を動かすものなんだな、と思ったものだ。
なんだか懐かしくなった。
もうハッキリとは覚えていないあの頃が懐かしくなった。
そういえば誰かさんもこの間、裸の大将の話していたな、
キッチンの横のダイニングテーブルでは、娘が冷蔵庫からひっぱりだしてきた、2リットルペットボトルのリンゴジュースを自分でコップに入れようとしていた。
き、危険だ!
とおもった瞬間、案の定
ドバーー!!!!!!
だよねぇ、こぼすよねぇ…
テーブルにリンゴジュースがどんどん浸食していく。
2、3歳ごろの子供をもつ家庭なら日常茶飯事なこと。
なんでも自分でやりたいお年頃。
"こぼしたらね、こーやって拭くんだよ"
といつも教えている。
でも、私もやっぱり人間。
気分次第で大きい声で怒ってしまう時もある。
今日は、一度目は柔らかく声かけできたのだけど、
この後、残念ながらまた"二度目"が起きたので、その時は、つい大きい声を出してしまった。
はあ、疲れる…。
と、すこしため息をつきながら
また冷蔵庫を開いた。
今度は野菜室ではなく、冷蔵庫の半分を占める部屋の大きい扉のほうを。
スイカとメロンが見えた。
大きくて野菜室に入りきらず、もっとも広い部屋に整列させられている。
なんて贅沢。
メロンはオレンジ色の身をしたものだった。
そろそろ食べ頃だろうか。
とうもろこしもスイカもメロンも、実家の畑でできたもの。たまに、ばあばが持ってきてくれる。
ピーマン、おくら、トマト、きゅうり、なす…この時期、夏は特に、さまざまな野菜や果物を育て、収穫している。
私はそれにお金を払うこともなく、新鮮な状態でいただく。
ありがたい環境に居させてもらっているのだな、
と心の中で感謝の言葉をつぶやきながら、
午前中の冷房をケチっていたせいで、汗だくの12時を迎えた。息子がランニングシャツなのも頷けた。
さあ、お昼ご飯の支度をしなきゃ。
'この日は、前日の残りもの3品と、とうもろこしと、おそうめんで済ませました'
(夏休みのある日のコト)