ワインのアルコール度数は何%?度数を決める要素とは?
ワインは、ブドウを原料に造られる醸造酒です。
お酒にはアルコールが含まれているため、ワインにもアルコールが含まれます。
ここでは、ワインとアルコール、さらにワインのアルコール度数を決めるポイントについて学んでいきましょう。
ワインのアルコール度数
私たちが飲用しているワインは、どの程度のアルコール度数なのでしょうか。
ワインの種類によって含まれているアルコール度数に違いはありますが、一般的にワインのアルコール度数は、「12%前後」と言われています。(参考 厚生労働省「アルコール」)
しかし上記のアルコール度数はあくまで平均的な数字であり、ワインによってアルコール度数にバラつきがあるのが実情です。
実際には、ワインのアルコール度数は8%から15%(それ以上のワインもある)と幅があり、さらに低アルコールワインが登場した影響によりアルコール度数が3%から5%というワインも見受けられます。
ワインはブドウのみを原料とする醸造酒ですが、なぜ同じブドウを原料としているのでここまでアルコール度数の差が出るのでしょうか。
アルコール発酵の基本
ブドウがワインとなるためには、“アルコール発酵”の工程が必須です。
ワインにおけるアルコール発酵の基本を下記にまとめました。
赤ワインはブドウの果皮と種子、果汁のマスト(果醪)、白ワインは果汁のみに酵母を添加する
酵母がマストや果汁に含まれているブドウ糖を餌にして、エタノール(アルコールの一種)と炭酸ガスを生成する
酵母が糖分を消費し切ると、アルコール発酵終了
これら以外に酵母は香り成分を生成するなど、アルコール発酵中にワインの品質を左右する重要な働きをします。
ただし、酵母の働きの中で最も重要なのが、エタノール、つまりワインに含まれるアルコールを生成し、ブドウジュースをお酒に変化させる働きでしょう。
ここでのポイントは、“”酵母が糖分を使い切った時に、アルコール発酵が終了する”ところです。
例えば、10gの糖分が含まれたAのマストと5gの糖分が含まれたBのマストがあるとします。
10gの糖分を酵母が使い切った時、そのワインのアルコール度数が10%と仮定しましょう。(※あくまで仮定の話)
一方、Bのマストには5gしか糖分が含まれていないため、できあがるワインには5%のアルコール度数しか含まれないといった理屈になります。
ブドウのマストや果汁の糖分量を決めるのは、原料ブドウの糖度です。
厳密にはさまざまな要素が絡み合いますが、基本的にワインのアルコール度数は、“原料ブドウ”によって左右されると覚えておきましょう。
原料ブドウとアルコール度数の関係性
ワインの原料となるブドウの糖分は、Brix(ブリックス)と呼ばれる物理量で計測されます。
アルコール度数10%から13%のワインを造る際、原料ブドウは20から23Brixが必要と考えられています。
上記でお伝えしたように、原料となるブドウの糖度が高ければ高いほどアルコール度数が高いワインになり、糖度が低ければそれに適応したアルコール度数のワインが仕上がるといったかたちです。
そのため、完熟しやすく糖度の高いブドウ品種を使用しているか、完熟までに時間がかかり糖度があまり上がらないブドウ品種を使用するかによっても、ワインのアルコール度数が大きく左右されることがわかります。
また、同じブドウ品種であっても日照時間が長く温暖な産地で栽培されるブドウは糖度が上がりやすく、全体的にアルコール度数が高いワインが多い傾向にあります。
一方、冷涼な産地で栽培されるブドウは糖度が上がりにくく、アルコール度数がそこまで高くないワインが多い傾向です。
アルコール度数が高い傾向のワイン産地を下記にまとめました。
カリフォルニアなど温暖なニューワールドの産地
フランス南部
イタリア中部から南部
スペインなど
アルコール度数が低い傾向のワイン産地を下記にまとめました。
ロワールやシャブリ、シャンパーニュなどフランス北部
イタリア北部
ドイツ
オーストリア
ニューワールドでも標高の高い冷涼な産地
あくまで傾向であり、生産者やその同じ産地でも標高が高い、糖度があまり上がらないブドウ品種を使っているといった具合で変わります。
さらに、近年はアルコール度数の高い果実味豊かなワインとは別に、アルコール度数と酸味、タンニン、複雑なアロマのバランスが考慮されたエレガントなワインがトレンドです。
ブドウの糖度がピークを迎えると同時に、ブドウに含まれる酸度が急激に減少するため完熟だけにこだわると、気の抜けたアルコール度数が高いだけのワインになってしまう難しさがあります。
糖度と酸度、さらにフェノール量など、全体的なバランスを見た上で生産者は優れたワインを造っていることを覚えておきましょう。
酒類別のアルコール度数
ワインのアルコール度数は、一般的に12%前後です。
参考までに、ほかの酒類の一般的なアルコール度数を下記にまとめました。
ビール→5%前後
清酒→15%前後
焼酎→25から35%
ウイスキー・ブランデー→43%前後
これらを見る限り、ワインは醸造酒においては中間的なアルコール度数と考えられます。
ちなみに厚生労働省が推奨する1日の純アルコールは約20gなので、ワインはグラス1杯半(120mlで12g)程度が適切な飲酒です。
ワインのアルコール度数はブドウで決まる
ワインのアルコール度数は、原料となるブドウの糖度に大きく左右されます。
醸造テクニックとして途中でアルコール発酵を止めたり、補糖を添加するなど、人的介入でアルコール度数がコントロールされることもありますが、多くのワインはブドウに含まれた糖度のみを利用してワインが造られている傾向です。
ワインはブドウからと言われているように、アルコール度数にも大きな影響を与えていることを覚えておきましょう。