赤ワインの原料とは!?代表的な黒ブドウ品種を覚えよう!
ワインは、ブドウのみを原料として造られるお酒です。
ワインは一般的に「赤ワイン」と「白ワイン」に大別され、赤ワインは黒ブドウ、白ワインは白ブドウから造られています。
ここでは、赤ワインの原料となる黒ブドウについて学んでいきましょう。
赤ワインは黒ブドウから造られている
赤ワインの原料は、黒ブドウと呼ばれる果皮が青紫から黒色のブドウで、それら果皮と果汁、種子が併せてワインが造られます。(一部、白ブドウを使用した赤ワインもあります)
黒ブドウの果皮には色素に関連するポリフェノールのひとつ、「アントシアニン」が豊富に含まれており、この影響によって果皮が濃い黒色になっています。
赤ワインは先にお伝えしたように黒ブドウの果皮と果汁、種子と一緒に醸すため、アントシアニンをはじめとした果皮由来のポリフェノールや種子由来のポリフェノールが果汁に含まれており、“色味が赤く、渋味のある味わい”に仕上がります。
ブドウ品種の特徴、アルコール発酵後の樽熟成・瓶熟成期間によって香りや風味に違いが出るものの、品質そのもののは原料である黒ブドウによって左右されるといっても過言ではないでしょう。
赤ワインに使用されている主な黒ブドウ品種
赤ワインに使用されている主な黒ブドウ品種を下記にまとめました。
※ちなみに、ワインに使用されるブドウには……
ワイン用ブドウと呼ばれるヨーロッパ原産のブドウ品種「ヴィティス・ヴィニフェラ」
生食用のブドウ品種「ヴィティス・ラブルスカ」
といった学名で分類されています。
ここでは、「ヴィティス・ヴィニフェラ」を主体に学びますが、補助的に「ヴィティス・ラブルスカ」についても紹介しましょう。
ヨーロッパ原産のブドウ品種「ヴィティス・ヴィニフェラ」
★カベルネ・ソーヴィニヨン
黒ブドウの王様とも称されている黒ブドウ品種が、カベルネ・ソーヴィニヨン。
フランス ボルドー地方の主要品種で、今や世界各国で栽培されている最も有名な黒ブドウ品種です。
色合いが濃く、ブラックベリーやカシスの香り、収斂性の強いパワフルでタンニン豊富な赤ワインを生み出します。
温暖な産地、冷涼な産地で仕上がるワインの印象が大きく変わり、数十年の長期熟成にも耐えるパワーを持っているなど、カジュアルなワインから偉大なワインまで幅広くカバーする黒ブドウ品種です。
★ピノ・ノワール
カベルネ・ソーヴィニヨンと双璧をなす有名黒ブドウ品種が、ピノ・ノワールです。
フランス ブルゴーニュの主要品種で、今ではアメリカやニュージーランド、チリなど世界各国で栽培されています。
鮮やかな色合い、クランベリーやストロベリー、すみれなどの香り、タンニンは中程度以下でシャープな酸味が特徴です。
カベルネ・ソーヴィニヨンと比較すると、エレガントなミディアムボディの赤ワインを生み出します。
大変デリケートな高級品種でブルゴーニュ以外では栽培が難しいとされていましたが、近年栽培技術などの向上により世界各国で優れた同品種産の赤ワインが多く誕生している注目品種です。
★メルロー
世界各国で栽培されている黒ブドウ品種のひとつが、メルローです。
フランス ボルドーの主要品種で、同産地ではカベルネ・ソーヴィニヨンとブレンドされています。
色合いは濃いものの、カベルネ・ソーヴィニヨンと比較してまろやかな口当たりが特徴で、ブラックベリーやプラムの香り、タンニンもパワフル過ぎず中程度のシルキーな印象。
果実味が豊かな、フルからミディアムボディの赤ワインを生み出します。
ボルドーではブランドされることがほとんどですが、フランスの別産地や生産国いよっては単一品種でワインが造られているなど、幅広いスタイルに活用できるところも魅力です。
★シラー
フランス コート・デュ・ローヌ地方の主要品種として知られている黒ブドウ品種、シラー。
色合いが濃く、果実、こしょうなどのスパイシーな香り、野性味溢れる風味とパワフルなタンニンが特徴の赤ワインを生み出します。
オーストラリアには「シラーズ」と呼ばれる黒ブドウ品種がありますが、シラーと同一品種です。
冷涼な産地ではスパイシーなアロマが強くなり、全体的にエレガントな仕上がりに。
温暖な産地では、より果実味の多いまろやかでボリューミーな味わいに仕上がるなど、栽培される場所によってもスタイルが変わってくるところが興味深い品種です。
カジュアルなワインも多いですが、熟成能力が高く偉大な高級ワインも多く生み出しています。
★カベルネ・フラン
フランス ボルドー、またロワールの主要品種として知られている黒ブドウ品種が、カベルネ・フランです。
カベルネ系ブドウの中でも早熟な品種で、冷涼な産地でもしっかりと完熟させることができます。
ブルーベリーやすみれ、清涼感のある爽やかな香りが特徴。
酸とタンニンのバランスの良いエレガントな赤ワインを生み出します。
ボルドーではカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローの補助品種として使用されていますが、ロワール、また生産国によっては単一品種でカベルネ・フランの持つポテンシャルをいかした赤ワインも生産されています。
★ガメイ
ボージョレ・ヌーヴォーで知られる赤ワインに使用されているのが、ガメイです。
ピノ・ノワールの子孫にあたるブドウ品種で、ブルゴーニュ地方のボージョレ地区の主要品種になります。
色合いは淡く、ストロベリーやチェリー、スパイシーな香り、酸が豊富でタンニンも穏やかな印象です。
ボージョレ・ヌーヴォーのように華やかでアロマティック、軽快なライトボディなワインも生み出しますが、一部熟成タイプのパワフルなワインもあるなど、実際は幅広いスタイルのワインを生み出す魅力的な黒ブドウ品種でもあります。
★そのほかの主要な黒ブドウ品種
上記の黒ブドウ品種のほかに、覚えておきたい黒ブドウ品種を一部下記にまとめました。
テンプラニーリョ……スペインを代表する黒ブドウ品種。香り豊かで酸とタンニンが豊富。長期熟成に耐える偉大なワインを生み出す。
ネッビオーロ……イタリア ピエモンテ州の主要品種。色合いが淡いものの、バラの花、トリュフの香り、パフフルなタンニンと豊富な酸を兼ね備える偉大な赤ワインを生み出す。イタリア最高峰のワイン「バローロ」、「バルバレスコ」の主要品種。
サンジョヴェーゼ……イタリア トスカーナ州また全土に渡って栽培される黒ブドウ品種。イチゴやサクランボやプラムなどフレッシュな香り、酸が豊富でタンニンが控えめなバランスの良いミディアムボディの赤ワインを生み出す。「キャンティ」の主要品種。
これら以外にも、世界には数多くの黒ブドウが存在しており、それぞれ個性を持つ赤ワインを生み出します。
生食用のブドウ品種「ヴィティス・ラブルスカ」
★マスカット・ベーリーA
日本における赤ワインの主要品種が、マスカット・ベーリーAです。
1927年に誕生したブドウ品種で、生食用としても広く活用されています。
イチゴやサクランボ、キャンディのような甘い香りが特徴です。
色合いは淡く、酸味、タンニンともに穏やかな繊細な赤ワインを生み出します。
ロゼ、ライトボディの赤ワインが多い傾向ですが、タンニンをしっかりと感じるパワフルなものや長期熟成させたものなど、幅広いスタイルの赤ワインを生み出せるところが特徴です。
★キャンベル・アーリー
日本の寒冷地、また九州などで広く栽培されている生食用の黒ブドウ品種が、キャンベル・アーリーです。
大粒で食べやすい粒状をしていますが、ワインにするとイチゴや桃などの甘い香り、酸味もフレッシュな、繊細で飲みやすい赤ワインを生み出します。
生食用のブドウ品種「ヴィティス・コワニティ」
※これらのほか、「ヴィティス・コワニティ」と呼ばれる山ブドウ品種があるなど、ワインに使用されている黒ブドウは多岐に渡ります。
主要品種から学ぼう
ブドウ品種自体で言えば、世界には1万種類を超える種類が存在するといわれています。
ワインを学ぶ上では、まず黒ブドウと白ブドウの違い、そしてそれぞれの主要品種を押さえるところからはじめましょう。
まず、必ず押さえておきたいのが本記事で紹介した黒ブドウ品種。
カベルネ・ソーヴィニヨン
ピノ・ノワール
メルロー
シラー
カベルネ・フラン
ガメイ
これらの名前と特徴を押さえておけば、今後ワインをより深く理解しやすくなるはずです。