雨の音、料理の香り
久しぶりの雨降りの東京、土曜日の午後。
落ち着いた空間から眺める雨は美しい。
武蔵小山で素敵なカフェを見つけた。
ぼんやりと思い描いていた僕の理想に最も似ていた。
雨の音が聞こえる、そこに料理を作る音が混じる。
おひとりさま用のカフェだから音が際立つ。それが心地良い。
たくさんの文庫本、手作りのメニューブック、一人でやっていると思えない多様なメニュー、所々に花や本があしらわれたレイアウト、それらが創る雰囲気、
具体的に素敵なところをあげたらキリがない。
団体の方が来られる。おひとり様のカフェなんです、と説明をする。
1オーダー2時間とメニューブックに書かれている。
軽食のみの注文はNGだ。
店主が想う世界を守るルールがそこにはある。
客はというと、食事、PC作業、読書、書き物に黙々と向き合う。
リラックスした雰囲気に、集中した少しの緊張感が入り混じる。
店の「好き」と客の「好き」が合わさっている。
双方が合意し、協力して、居心地の良い空間を作り出している。
ゲストハウスのことが好きな理由を思い出す。
より「好き」が表現できるのは、オンラインの世界だ。
僕のnote然り、たくさんのインフルエンサーの偏愛然り。
店主の方はInstagramやnoteでの発信も抜かりない。
リアル店舗とオンラインショップの掛け合わせは、小売業であればいまや当たり前の仕組み。
しかし実店舗系ビジネスの場合は簡単ではない。
ここでは、「好き」を極めたオフラインのカフェという装置を中心に置くことで、web媒体では認知を広げ集客を、またはファン化させコミュニティ創りをしているようだ。
「好きなことだけではやっていけない」
「カフェは儲からない」
きっと、そう。
だけど、「好き」と「好き」を繋げることをサボらなければ方法はまだまだありそうだ。
そうだからなのか、ただただ「素敵」というには留まらない、なにか覚悟のようなものも感じる。
2時間があっという間に経った。
ホットアップルシナモンを注文してもう少しこの世界に浸ってみる。
いつものカフェともコワーキングスペースともゲストハウスとも図書館とも違う。
この世界観の中でしかできないことをやってみる。
例えばこんなnote。
誰かが焼き菓子を注文した。
あっという間に甘い香りがお店の中に広がる。
雨の音は止まない。