短編映画「ザ・ディスティニー」主演 長坂 一哲さん special interview(後編)
Q8.長坂さんは2本のテレビに立て続けに出演されました。「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件」の再現ドラマで元死刑囚 宮崎勤役を、「群馬一家 3 人殺害事件」の再現ドラマでは指名手配犯 小暮洋史役を演じました。
宮崎勤役では1時間近い再現ドラマで放送前からCMや新聞で取り上げられ、放送終了後も「あの俳優は誰?」と話題になりました。
8-1. 長坂さんは現在も twitter などを通じて犯人の逮捕を願い、情報提供を呼び掛けていらっしゃいますね。
やはり長坂さんにとって元死刑囚 宮崎勤役や、指名手配犯 小暮洋史役を演じたことは大きかったのでしょうか?
※指名手配中の「群馬一家 3 人殺害事件」の 再現ドラマの放送は 2019 年 4 月 30 日。
A.実際の殺人事件を演じさせて頂くのは、元死刑囚 宮崎勤役が初めてでして、その後に指名手配犯 現在も交番にポスターが貼ってある小暮洋史役をやらせて頂きました。
勝手ながら僕なりにではございますが背負って生きていこうと思っています。
色々な意見があるかと思いますが、放送終了後にSNSを通じて高校生からDMが届きました。事件を知らない世代にお伝えすることが出来たのは、やって良かったと思いました。
放送から2年経っても未だにテレビを見ましたと連絡いただきます。改めて事件の影響力を痛感しました。
8-2.僕もこの二つの事件の再現ドラマを拝見しました。どちらにも共通するのは「見ていて辛い」という感覚になったことでした。
僕の勝手な想像ではありますが、「演じていて辛い」など、そういった感情 になったりすることはあるのでしょうか?
A.演技の視点でお話させて頂きます。
演じてる時はその役に集中しているので、辛いといった感情はなく役を全うするんだという感じだと思います。
ただ撮影の待ち時間の時です。小さい女の子が、僕になついてくれて膝の上に乗ってきました。可愛いです。
なのに僕はこれからこの女の子を殺めないといけなくて、なんてことをするんだろうと思ったことがあります。
極端に言えば演技なので嘘です。ですが演技する時はその場を信じてやっています。
8-3.今回、僕が書いた脚本を演じていただいたわけですけれども、実はとても怖くなる瞬間がありました。「もしこの脚本に、"飛び降りる” なんていう表現があったら、長坂さん本当に飛び降りちゃうんじゃないか?」
そんな風に思ってしまった瞬間があって、それがとても怖かったのです。
いわゆる「悪役」であったり、そうでなくても「負の感情」をその心と身体に宿して役を演じるというのは、とても危険なことでもあるんじゃないかと思ったのです。
今作の撮影では、主人公にとって「いちばん見たくない未来の姿」のシーンの撮影がラストでした。
「失望」や「絶望」といった感情を全力でその心と身体に宿して演じる長坂さんに、撮影が終わって僕が一番に望んだこと。それは「一刻も早く役から長坂さん自身を解放してほしい」ということでした。
それくらいに痛ましい姿で演じてらっしゃいました。
そして、もしかしたらそこには「負の感情と折り合いをつけていくこと」のヒントがあるのかもしれない。僕はそう思ったのです。
僕自身「負の感情と折り合いがつけられずに、壊れてしまった経験」があります。
そして僕とよく似た人たちがきっとたくさんいるんじゃないか?そう思うのです。
「負の感情と折り合いをつけていくこと」について、長坂さんの経験や知識などあれば教えていただきたく思います。
A.そうですね、感情をコントロールすること演技することが僕の仕事です。この線を越えたら危ないと自分ではわかっているつもりです。ギリギリを狙いますし、越えていかないように気を付けています。
これからも自分の使い方を一生磨いていきます。
自分で飛び込んだ世界で課題にぶつかり、面白さを発見しながらやっています。才能がない自分がどこまで出来るか楽しんでいるところもあります。仕事ですから結果を出せなければ淘汰されていきます。なので才能があるないで悩むよりは、その情熱を行動に変えた方が着実に進んでいけることに気付けました。因みに結果がどうでも死ぬわけではありません。生きることを人間を否定された訳ではありません。失敗しようが成功しようが同じ人間です。どんなことでも必死に生きてる人間は輝いています。美しいです。
誰の人生でもなく自分の人生です。このような事を僕なんかに言われなくても、そんなこと分かってると仰る方もいるでしょう。
失礼しました。
しかし僕自身がどうしても必要以上に他人の目を気にしてしまっていました。
実はそんな事より大事なことに気付いているのに。
大人になるに連れて「でも現実は」と切り離して考えていました。
本当にそうなのでしょうか?
僕は間違えてました。人間には知恵があったんです。工夫できます。
つまらなく生きるも楽しく生きるも僕は知恵の使い方だと思いました。自分で選べるんです。
負の感情と折り合いをつけること、自分なりの考えを偉そうに語らせて頂きました。不快に思われましたらすみません。
僕は生きてるだけで丸儲けだと思っています。生かされていることに心から感謝しています。
Q9.最後にファンの皆さまへ、今作で長坂さんに出逢った皆さまへ、そしてこれから長坂さんに出逢う皆さまへ、メッセージをお願いします!
A.僕のことを知ってる方、知らない方、一度切りの人生でこうして巡り逢えたことに感謝を申し上げます。
いかがだったでしょうか?
ちょっとだけ自慢話です(笑)
初めて知り合って、撮影までの5日間。
そしてそれから今日この瞬間までも、僕のことを「野村監督」って呼んでくれたことはもう・・僕にとって一生の宝物です!!
長坂さん、本当にお疲れさまでした!
今後のより一層の活躍を心から楽しみにしております!