企業経営に必要なほとんどの事は、RTSゲーム(Age of Empires2)が教えてくれた件②

序章が長くなってしまいました。すいません。
いよいよAge of Empires2(下記からはAOE2とする)の魅力に迫ります。
本当にビジネスと共通項が多過ぎるゲームであるという前提で読んで欲しい。

簡単なAOE2の定義です。

自国の特性を生かして、資源を調達し、最適なバランスで消費し、兵隊を生産し、練兵して、勝てるタイミングを見込んで、他国へ攻め入る陣取り合戦をするのがAOE2。

簡単なビジネスの定義です。

自社のケイパビリティを生かして、資金を調達し、最適なバランスで配分し、人材を雇い、教育し、勝てるタイミングを見込んで、他社のシェアを奪いに行くのがビジネス。

似すぎ。完全に一致。

ゲームそのものの詳細な解説は、koujan氏運営の下記サイトに詳細が書いてあるため、気になる方はご覧ください。
http://koujan.deci.jp/aofe/intro/intro1.html

①世界観とゲームの流れ

相手の人口を0人にするまで殺しあう戦争ゲームです。

(相手の人口を0人すれば、強制的に敗北状態になるためゲームが終了するが、実際のマルチプレイでは99%のプレイヤーが投了するため、「相手が諦めれば勝ち」というのが実態である。)


紀元後数百年から、西暦1200年くらいまでの世界史を題材にしており

ゲルマン民族大移動のきっかけともいわれるフン
南米史に欠かせないコンキスタドール擁するスペイン
北欧の勢力図を塗り替えたバイキング
戦象を繰り出すことが可能なペルシア

30を超える種類の文明を選択して、当時の戦争史を体験することが可能です。
昔は選択できる文明が限られていましたが、近年有志により拡張パッケージが開発され、より良いバランス調整や新文明の追加が行われました。

世界史が好きな方はなんとなく想像するかもしれませんが、やはりモンゴルは最強文明の一角です。フンも強い。

ゲームが始まると「町の人」というユニットを動かし、まずは資源を採取します。「肉」を取り、新たな「町の人」を生産し、「木」を取り、「小屋」を立てて、「兵隊」を生産します。「兵隊」で相手陣地の「町の人」を殺し、相手の資源採取能力を奪います。資源がなくなれば「兵隊」を追加できなくなるため、一方的に虐殺されます。こうなれば投了です。

もうお気づきの方もいるとは思いますが、この時点で企業経営そっくりです。

自国の特性を生かして、資源を調達し、最適なバランスで消費し、兵隊を生産し、練兵して、勝てるタイミングを見込んで、他国へ攻め入る陣取り合戦がAOE2。
自社のケイパビリティを生かして、資金を調達し、最適なバランスで配分し、人材を雇い、教育し、勝てるタイミングを見込んで、他社のシェアを奪いに行くビジネス。



どこからどう見ても同じ。
もう本当にそっくり、全てのフェーズがまったく同じ。

次項より、各フェーズにおける共通項を掘り下げます。

②陣取り合戦

結論、このゲームは陣取り合戦です。シェアを奪い合うビジネスと同じです。

AOE2では、資源を確保するために、畑を張ったり交易をしたりします。
そのための土地が無ければ、資源を確保することが出来ないため、兵隊を生産できず、敗北に繋がってしまいます。
つまり、相手の資源生産地を、自国の兵隊でどれだけ攻め込むかというゲームになります。

そのため

「どこを?」攻めるか

「どうやって?」攻めるか


という意思決定がとても重要になります。

ですが…

「誰と?」攻めあっているのか


についても、考えをめぐらさなければいけません。

AOE2は、最大4人対4人でプレイ可能であり、チーム全体で、どこを攻めるかという思考が非常に重要になります。

つまり、目の前に相対する敵のみが、敵では無く、自分には見えない他の3人も、当然ながら敵になるということです。

そのため、目の前の敵としのぎを削っていたら、第二の敵の味方にやられてしまうということも頻繁に起こります。

勝ち続けるためには、敵味方問わず、自分以外の全てのプレイヤーの状況を考える必要が有り、勝ち続けるためには、視野の広さを養うことが重要になります。

ビジネスでもまったく同じです。

「どこを、どうやって、攻める?」が得意な人は多いですが…

「誰と、奪い合っている?」について、ちゃんと考えない人が凄く多いです。


「どこを?」「どうやって?」「誰と?」の三つは相互に関係性を持つ変数のため、どれかが変われば他の全てが変わります。戦果が最大化するように、意思決定することが重要なのです。

おすすめ屋という低価格帯の居酒屋を例にして説明します。

おすすめ屋は、2000円で料理とアルコールが食べ飲み放題になる、格安の食べ飲み放題専門居酒屋です。

この場合、攻めに行く場所、「どこを?」については

飲み好きの大学生や20代の社会人

というセグメントになります。

「どうやって?」については

2000円での格安食べ飲み放題

というコンテンツになるわけです。

では「誰と?」奪い合っているか。

「同じような価格帯の居酒屋、外食産業」

これでは50点の解答なんです。

学生は、コンビニでお酒を買い、宅飲みする時代です。

つまりコンビニも敵になります。

ということは、外食産業だけでなく、コンビニの商品も研究する必要がありますよね?ともすれば、それがコンテンツの内容にも影響を与えます。

似たような競合とせめぎあいをしていたら、想像もしていない敵に全てを持っていかれてしまう。こんなことがビジネスでは日常茶飯事です。


ようするにこれはマーケティングです。

ゲームするだけでマーケティングが身につくって凄くない?


もしAOE2をプレイしていなければ、僕はおすすめ屋の敵を「同じような価格帯の居酒屋、外食産業」

と間違った定義をしてしまっていたでしょう。

本当に素晴らしいゲームです。

やってて良かったAOE2。


③自国の特性を生かす


AOE2では、様々な文明特徴があります。

序盤に強い内政文明(アステカ、ケルト、フン、モンゴルなど)
終盤に強い帝王文明(スペイン、サラセン、朝鮮など)
弓が強い射程文明(ブリトン、マヤ、ベトナムなど)
騎馬が強い馬文明(フランク、ベルベル、マリなど)

最強の文明というのは存在せず、文明に応じた様々な戦術を採用することが出来ます。このバリエーションこそが、AOE2に無限の可能性とドラマをもたらし、20年たってもなおプレイヤーが生き残っている源泉でもあります。

当然、自国の文明特性を考えた、強みを生かした動きをすれば良いわけです。

と、だいたいのプレイヤーは考えます。

ですが、これだけでは

勝ち続けることは出来ません。


相手の実力や文明特性を考慮に入れて、相手が嫌がる動きをすることも可能です。

つまり、自分たちのストロングポイントを生かすのではなく、相手のウィークポイントを突く動きをするということです。

AOE2では、特に強みも無いが、ある程度色々な動きを出来る器用貧乏のような文明があります。

そういった文明の場合、自文明の強みを生かす動きよりも、敵の弱みを生かす動きのほうが戦果に繋がります。

また、敵のエースプレイヤーを早めに潰しに行き、長期的な優位を作ることも可能です。

ビジネスも同じです、大体のビジネスマンが、自社のケイパビリティを生かすことを良く考えるのですが、相手の強みと弱みを生かした立ち回りをする人はとても少ないです。

本来、自分の優位を生かすことと、相手の欠点を生かすことの、戦略的価値は大体同じです。

そして、ゲームも現実世界も

「俺にケイパビリティなんて無えよ」というシーンは普通にあります。

というか「強み」なんて、そうそう無いでしょ。

だったら「相手の弱み」につけこめば、同じことです。


時には自分が望む展開ではなく、相手が望まない展開に持ちこむことこそが勝利に繋がる場合もあります。

とはいえ、ビジネスシーンで、相手が嫌がる展開を想定する経験というのは、意外にも多くありません。

やってて良かったAOE2。


次ページに続く。

https://note.mu/nomonomoshu/n/n770d4ba70f11

(ところで、NBAの常勝軍団に、サンアントニオ・スパーズというチームがある。このチームはレギュラーシーズンに、仮に負けたとしても、チームの得意な形をひたすら追求し、プレーオフシーズンでは徹底的に相手の弱みを生かす戦術を採用している。こういったチームマネジメントをすることで、自分たちのケイパビリティを生かす展開と、相手のケイパビリティを生かさない展開の両方に選択可能性の余地を残している。強い。スパーズ強い。)

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