News Picksのビジネスモデルを図解~他ニュースメディアのプラットフォームとの違いは?~
こんにちは!
野見山です。
今回はプラットフォーム系のビジネスモデルを取り上げようと思いましたので、News Picks(ニューズピックス)のビジネスモデルを紹介します。
以下の内容を知りたい人向けです。
・News Picksと他ニュースメディアのプラットフォームとの違い
・サブスクリプション型のビジネスモデル構築のポイント
■News Picks(ニューズピックス)とは
・会社概要
社名:株式会社ニューズピックス/NewsPicks,Inc.
設立:2015年4月1日
事業内容: ソーシャル経済メディア「NewsPicks」の運営・開発
NewsPicksは経済ニュース専門に特化した、国内最大規模の経済ニュースプラットフォームです。Yahoo!ニュースなどのように各種メディアの経済ニュースを掲載しているほか、自社で編集・作成したコンテンツをユーザーは閲覧することができます。
・市場規模
国内のSaaS型サービス、月額課金などの収益モデルを採用しているサービス市場は拡大を続けており、2023年度には約8,200億円になる見込みです。
富士キメラ総研『ソフトウェアビジネス新市場 2019年版』より
また2019年度のインターネット広告市場を媒体別に見た時に、モバイル広告が1兆2,623億円とこちらも前年より伸長しています。
D2C、CCI、電通、電通デジタルの4社による共同調査
「2019年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」より
・直近の業績
直近の2020年第2四半期の決算の業績ですが、広告事業に加え、有料会員からなる有料課金事業も右肩上がりで推移しています。
・主要KPIの状況
次に、NewsPicksの主要KPIである有料会員数を紹介します。個人の有料会員は順調に右肩上がり出来ており、直近から法人の有料会員が増えていることが分かります。
■ピクト図で見たビジネスモデルの概要
News Picks(ニューズピックス)のビジネスモデルを図解すると、以下のようなイメージです。
■ビジネスモデルキャンバスでポイントを把握
ビジネスモデルキャンバスで、ビジネスモデルを俯瞰的に見ると以下のとおりです。
NewsPicksのビジネスモデル上でポイントとなっている、以下3点について確認を進めていきます。
①プラットフォーム+パブリッシャーの統合モデル
②プロピッカーやコミュニティを通じてユーザーと関係構築を築く
③広告収入のみに頼らない収益モデル
■①プラットフォーム+パブリッシャーの統合モデル
NewsPicksは複数媒体のメディアのプラットフォームであると同時に、自社コンテンツを作成し公開しているパブリッシャー(発行者)でもあります。同じ事業を営んでいるYahoo!ニュースやスマートニュースではプラットフォーム運営のみをしており、ここにNewsPicksと他社の違いがあります。
NewsPicksがプラットフォーマー及びパブリッシャーの両面を持っている理由は、従来の業界の構造に課題があると考えたからのようです。
プラットフォームを持っている企業はパブリッシャーの企業よりも立場が強くなる傾向があります(例:Appleのapp storeをイメージしたら良いかと)。そのため、パブリッシャーが提供するコンテンツの質が均一になりがち(上がりづらい)となる業界構造的な課題がありました。
NewsPicksはその課題を解決すべく、自社プラットフォームのコンテンツの質の向上を図るため、ビジネスモデルに両面を持つ選択をしています。
(参考:書籍 異質なモノをかけ合わせ、新たなビジネスを生み出す 編集思考 (NewsPicksパブリッシング))
■②プロピッカーやコミュニティを通じてユーザーと関係構築を築く
NewsPicksのサービスの特徴として、記事に対してコメントができる仕様になっています。「プロピッカー」と呼ばれる経済やビジネスなどの各専門分野で活躍している人がNewsPicksのパートナーであり、ユーザーは気になる専門家をフォローして記事やコメントチェックすることができます。
またNewsPicks ACADEMIAでは、第一線の実践者によるオンライン講義や実際のゼミがあったりと、ユーザーの学びを加速させるサービスがあります。
NewsPicksはこのようにプラットフォームでありながら、ソーシャル的なコミュニティとしてユーザーと関係性を作っていることもビジネスモデルにおける特徴の一つです。
■③広告収益のみに頼らない収益モデル
メディアのプラットフォームを管理する収益モデルは、広告収入に頼っているケースが多いかと思います。広告掲載を希望する企業から、広告を載せる代わりに広告収入を得る、という形式です。
NewsPicksは広告収入だけに頼らず、有料会員からの月額会費≒有料課金事業が収入の柱になっているのがポイントです。
NewsPicksの有料課金事業が成り立っている背景を考えると、
①複数メディアの経済ニュース掲載のプラットフォーム運営をしている
②ユーザーがNewsPicks上で参加できるコミュニティがある
③自社のオリジナルコンテンツ(メディア)を保有し、ユーザーに質の高いサービスを提供している
プラットフォーム×コミュニティ×メディアの組合せで、ユーザーへ価値提供できているからこそ、有料課金事業が成り立っています。
サブスクリプション型のビジネスモデルを検討する際に参考になる観点ですね。
■おわりに
今回の記事では、NewsPicksのビジネスモデルをお伝えしてきました!
ニュースメディアのプラットフォームと一口に言っても、調べてみると各企業ごとにビジネスモデル上の違いが見て取れました。
それではまた!
(以前のビジネスモデル図解の対象は、タイムズのカーシェアです。)
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